内容説明
師弟のようなクラスメートのような3人の創作とお話の本。国民的詩人と新鋭歌人の詩と短歌による「連詩」と「感想戦」を収録。読み合いと読み違い、感情と技術、笑いとスリルが交わります。
目次
はじめに 詩とは?短歌とは?連詩とは?
紹介 詩人と歌人とそれぞれの詩と短歌
連詩 今日は誰にも愛されたかった
感想戦 連詩について語り合った三人の記録
エッセイ 木下龍也「ひとりだと選んでしまう暗い道」
エッセイ 岡野大嗣「ここがどこかになる時間」
あとがき 谷川俊太郎「コトバについて」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
113
3人の詩人、歌人が交互に読み合い共作した連詩、そしてその詩の感想戦を収録した作品。言葉による感性のぶつけ合い、そして共作による探り合いの緊張感と相手を驚かすような茶目っ気など色々なものが感じられて楽しく読めた。谷川さんのしなやかな受け方を見て、こういうのって理屈と感性、どちらかに引っ張られ過ぎてもいけないのだなと感じた。siri繋がりは爆笑。詩骨という言葉や表題のように一文字変わるだけでちょっと特別な感覚が広がっていくのがいいなと思えた。言葉の感性をもっと磨きたいものだ。2020/01/03
けんとまん1007
85
面白い。連詩って、こんな風に連なるんだと感じた。感想戦で書かれているとおり、言葉が三人を通して化学変化していくんだなあ~と。同じ三人でも、順番が違っていたら、また違う1冊になっていたんだと思う。それにしても、やっぱり谷川俊太郎さんは、いい味だしているなあ~。2020/05/24
コットン
80
三人の連詩とその内容を語り合う感想で成り立つ。詩人と歌人による詩と短歌で交互に書き連ねていく今回の『連詩』というスタイルの面白さと、少し外しながらもつながっていく感覚をネタバレ的に語り合っていてその発想力の一端を垣間見られる点が貴重。本のタイトルにもなった次の歌が好き:四季が死期に聞こえて音が昔に見えて今日は誰にも愛されたかった(岡野大嗣)2020/01/08
キク
55
日本一有名な詩人と、新鋭歌人2人による連詩集。3人がリレー方式で3日以内に詩や短歌を繋いでいくが、その期間は作品以外のコミュニケーションを一切とっていない。作品として出来上がった連詩は、面子が面子なので当然すごく面白いんだけど、連詩の倍以上のページ数がある「感想戦」がすごく面白かった。歌人達の谷川俊太郎に対する敬意が深読みとなりテーマを読み違えたり、意に介さず自由奔放に「市川」を登場させる谷川俊太郎など、創作の深い部分を素直に語り合っている。そりゃ、谷川と連詩をするとなったら裸でぶつかるしかないよなぁ。2025/04/20
なる
51
日本を代表する詩人である谷川俊太郎と、現代短歌の旗手である岡野大輔・木下龍也の三人による、詩と短歌という形式での一風かわった連作集。前者の作品から連想して次の作品をつくる、という連作形式は作家の個性が表れていて面白い。若い二人の歌人に対してそれぞれ谷川が横綱相撲で払うといった風情で、作風として木下はやや理知的、岡野は奔放、谷川はやや岡野に近いスタンスで書いている。説明がないまま作詩・作歌するのでテーマがぶれたり奇を衒って書いたりしているのが今までに触れた連作集とは違う。三人による解説で理解する。2021/08/11