内容説明
中原中也賞最年少受賞詩人、文月悠光、第3詩集。“恋にまつわる”26篇。
目次
空の合図
わたしたちの猫
選ばせたもの
みんな甘えたがり
夜明けのうつわ
愛は比べようもなく
四月一日の告白
ばらの花
女の子という名のわたし
たてがみのように〔ほか〕
著者等紹介
文月悠光[フズキユミ]
詩人。1991年北海道生まれ。中学時代から雑誌に詩を投稿し始め、一六歳で現代詩手帖賞を受賞。高校三年時に出した第一詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少の一八歳で受賞。早稲田大学教育学部在学中に、第二詩集『屋根よりも深々と』(思潮社)を刊行。2016年、初のエッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)を刊行。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、書評の執筆など広く活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アマニョッキ
31
心臓の場所を再確認させてくれるような切ない恋の詩集。ハッとしたりグッときたり。装丁、紙質、色づかい、すべておいて素敵な一冊。いつか誰かにプレゼントしてみたい。2017/02/02
Maki
30
【猫本を読もう読書会】心の中に猫がいるとすれば、まんまるく丸くなってなんて可愛いんだろうと思う。こんなにかわいい猫のもらい手はやっぱり好きなひとにもらってもらいたいと思う。ずっとずっと一緒にいてもいいとも思う、2019/02/17
ベル@bell-zou
26
恋。気付くと同時に終わりを意識させるそれは、取るに足らない問いを繰り返し、ささやかな約束を欲しがる。ノイズが除去された世界は、指先に、まぶたに、耳に、収束していく。耳を立て丸くなっているニュートラルな猫のように。『わたしたちの猫』というタイトルとピンクと水色の猫柄にひかれて(装幀は名久井直子さん)。中も恋のイメージそのままの桃色の紙なのに、恋してドキドキワクワクというよりも静かに観察しながら語る感じのバランスがいい。2021/07/25
kana
20
私たちは終わらない片思いをしている。溶け合うように愛し合う時も、夫婦として長い付き合いになっても、一方通行の想いはずっと宙に浮いたまま切なく漂う。でもそれでいい。それが私たち。と全てを抱きしめたくなる詩集。人は心のうちにみんな猫を飼っている。本のタイトルを題した「わたしたちの猫」がとても好きです。詩っておもしろいなぁと魅力を思い出した1冊。 最近詩集や歌集を手にとるようになってナナロク社の装丁の美しさにときめく。特に本書は美しいピンクの手触りが詩の世界観とつながりが感じられてため息が漏れる。飾りたい本。2025/07/09
恋
15
文月悠光さん、もっと詩集を出されていないのはなぜだろう。文月さんは、現代詩人として代表的な作家だとさえ私は思ってる。それくらい『適切な世界の適切ならざる私』にはノックアウトされた。 この詩集でも、文月さんのどこに何が掛かるか分からない離れ業な比喩表現の世界は健在だった。知らない内に知らないところに連れて行かれる、戻れない。これから何処に行くか告げてくれない。 彼女の詩の前では私はまるで足取りの覚束ない赤子になった気持ちになる。いや、本当に酔っ払いなのだ。詩人のつもりなっている酔いが彼女には醒まされる。2022/08/12