日付の大きいカレンダー―岩崎航エッセイ集

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  • サイズ B6判/ページ数 192p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784904292631
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

39歳、詩人、筋ジストロフィー、絶望の淵で見出した希望。幸せとは、生きる力とは何か?岩崎航、待望の初エッセイ集。

目次

第1章 一日、一日、(肩代わりできない心;病魔について;いじめの話 ほか)
第2章 わが家の物語を生きていく(青葉ハイツ;宮城県沖地震;病と、出合う ほか)
第3章 本とともに(『夜間飛行』の通奏低音;香月泰男の『シベリア・シリーズ』;未読のままに『太宰治全集』のこと ほか)

著者等紹介

岩崎航[イワサキワタル]
詩人。1976年1月、仙台市生まれ。仙台市立向山小学校、仙台市立五橋中学校、宮城県仙台第一高等学校通信制課程を卒業。3歳の頃に進行性筋ジストロフィーを発症。今は胃ろうからの経管栄養と人工呼吸器を使い、在宅医療や介護のサポートを得て自宅で暮らす。25歳から詩を書き始め、2004年の秋からは五行歌を詠む。2013年7月、詩集『点滴ポール―生き抜くという旗印』(写真・齋藤陽道/ナナロク社)を刊行。各界から大きな評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mukimi

107
(再読)筋ジストロフィーのため寝たきりの筆者は、身体の自由を持ちながら不自由を嘆いて欲望と焦燥感に駆られてばかりいる私含む多くの人々より一段高いところに生きているのではないかと思う。不純物や騒音に溢れた社会から隔絶された日常を生きるからこその純度の高い美しい言葉に心洗われる。呼吸を穏やかに整える森林浴のような読書。数年前心の傷を癒す何かを探して出会った時は「回り道もいつか必然になる」との記述に救われたが今回は「暮らしを楽しもうとする心が大切」という日常を慈しむ筆者の記述に惹かれ、自分の変化にも気付けた。2023/12/20

ネギっ子gen

57
【生きることと、詩は一体のものです】絶望の淵で見出した希望を、ベッド上で五行詩に綴る、筋ジストロフィーの詩人によるエッセイ集。著者は書きます。<僕の詩と言葉は、人と人との関わりの海に漕ぎ出すなかで書いてきました。それは現在進行形で今も続いています。/全身不自由な体を持ち、栄養剤と機械の助けを借りて生きているという僕という境遇は、なかなかに特異なものと感じられる人も多いかと思います。けれども一人の人間として人生を生きる生活者の思いには、病や障害のあるなしの違いを越えて、通じ合えることがあると思います>と。⇒2023/12/10

とよぽん

42
読友さんの感想を読んで知ったエッセイ集。「日付の大きいカレンダー」が意味するところを読み、あぁ、なるほどと思った。2歳の頃から現在に至る半生は、その時々の苦しみや悩み、絶望的な思い、生への火種、光源、等々厳しい現実だが、病と闘うのではなく「病魔」と闘っていくという力強い文。そして、筆者が自分の幼時期から少年時代を振り返って、幸せだったと思っていることがとてもよかった。詩集「点滴ポール 生き抜くという旗印」も是非読みたい。自分の日々の生活を足元から見直そうと思った貴重な読書だった。2023/12/22

aika

28
心がじわじわっと震えます。岩崎さんの詩は、自己と対峙しながらもひとりよがりじゃない。自己を見つめる、というと、自分のうちに籠るようなイメージがありますが、他者との交流の中で詩が紡ぎ出されている。泥臭いまでのもがきとか、苦悶とか、そういう根っこがしっかりとあって、詩の美しさが咲き香っている。陳腐な言葉でしか言えないのですが、誰にとっても特別で、普遍的な意味を持つ詩歌なのではないでしょうか。「誰に、どう 見られてようと わが心を込める道があり 生きていくことは 幸せなのだ」抱きしめて、生きていこうと思います。2016/06/24

梅ちゃん

21
2020.09.08先日読んだ五行詩集『点滴ポール…』の著者がその後に出版したエッセイ集。筋ジストロフィーを発症し、栄養剤と機械の助けで生きておられる著者がその経験を綴ったもの。本書のタイトルは「日付の大きい/カレンダーにする/一日、一日が/よく見えるように/大切にできるように』の五行詩より。「この病がある限り自分の未来はない」と考えていた心が溶けてきて「病を持っていることを含めての自分」と思えるようになった著者。強い人である。2020/09/08

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