内容説明
詩と詩人と写真家たちの素顔を若き日のおもい出とともにつづる初めてのエッセイ集。
目次
暮らしたところと(山のてっぺんにある下宿―京都・左京区北白川山田町;高田馬場の木造ボロアパート―新宿区下落合 ほか)
本と詩人と(朝狂って―吉増剛造;風に吹かれて―ボブ・ディラン;詩人から頭の固いひとに―ラングストン・ヒューズ;吠える―アレン・ギンズバーグ ほか)
自著と写真家と(自分にふさわしい場所―ホンマタカシ;日々はそれでも輝いて―佐内正史;無用のかがやき―リリー・フランキー;定員オーバー―長島有里枝 ほか)
著者等紹介
谷郁雄[タニイクオ]
1955年三重県生まれ。同志社大学文学部英文学科中退。90年『死の色も少しだけ』(思潮社)で詩人デビュー。93年『マンハッタンの夕焼け』(思潮社)がBunkamuraドゥマゴ文学賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さすらいのアリクイ
15
著者の詩人、谷さんがこれまで暮らした街のことや触れてきた詩や詩人について、自身の単行本に載せた写真を撮った写真家たち、そして本を作ったときのできごとなどが書かれた自伝的なエッセイの本。何回も読み返したくなる感じの本です。詩人の章では谷川俊太郎、中原中也、ボブディラン、吉増剛造、与謝野晶子など色々な詩人が登場。谷さんが各詩人と詩にどう触れたのか、この詩はどういう意味があるのか、どう作られたのかという解説文が1つ1つ魅力的で面白く、読んでいて気持ちがすっきりするような。枕元に置いておいて時々読みたい本です。2017/09/19
なつ
9
著者の詩『朝ごはん』。『平凡な人生の一瞬が輝きを放つ時がある 人生も愛も人の死さえも この世ではありふれている 大切な人がいなくなっても 世界は終わらない 恋の終わりにも 悲しみに蓋をして 朝ごはんを 食べなくちゃならない 心に刺さったトゲが 抜けないままで 作り笑いを練習する日 あってはならないことがあっけなく起き続け 事故の現場に季節はずれの花が咲く 好きな人への告白はためらってはいけない やりたいことは明日に延ばしてはいけない ありふれている この世のすべては 風のひと吹きで 消え去ってしまうから』2015/11/27
ロコ
2
谷先生の半生を描いたエッセイと、解説や谷先生の感じたことと共にいくつかの詩を紹介している。詩には全く馴染みがなかったけれど、谷先生の優しい言葉のおかげで詩について落ち着いて考えるいい機会になった。特に気に入ったのはランボオの「感性」とヘッセの「五十歳の男」という詩。また、思わず線を引いてしまいたくなるほど素敵な言葉がたくさんある。 「ほんとにそうだ。初めて出会ったはずなのに、以前にどこかで出会ったような気がする人に、ぼくらはこの世で出会い続けているのかもしれない」2012/07/07