内容説明
人口1万5千人の海辺の町で90年以上続く映画館。出演者や監督が次々に舞台あいさつに訪れるピンク街のアート系映画館。「幽霊通り」と呼ばれた駅前を復活させた映画館―。全国の“わが町”に銀幕を掲げる16の映画館。その幸福と苦悩を凝縮。
目次
1 since 2010 わが町に映画館を作る方法(映画館の開業―シネマ尾道(広島県尾道市)
映画館の運営―シネマ5(大分県大分市))
2 since 1910’s すべては「空間」から始まった(ごく普通にごく身近に映画館があってほしい―1918年開館・大黒座(北海道浦河町))
3 since 1980’s ブームから遠く離れて(「シネクラブでありミニシアター」というあり方―1982年開館・名古屋シネマテーク(愛知県名古屋市)
作品を発掘し、観客に提供し、社会的な話題を生み出す―1983年開館・シネマスコーレ(愛知県名古屋市) ほか)
4 since 1990’s 映画館に個性は必要か(良くも悪くも私の映画館―1994年開館・シネマルナティック(愛媛県松山市)
娯楽だけではない映画の魅力を伝える―1994年開館・シネマ・クレール(岡山県岡山市) ほか)
5 since 2000’s 映画館はなぜつくられるのか(どこもやらない、やれないことを―2002年開館・第七藝術劇場(大阪府大阪市)
週末だけの映画館に、ようこそ!―2003年開館・シアタープレイタウン(秋田県秋田市) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はまい
2
ミニシアターが私の県に無いのは何故なのかと思って読んだ本。ミニシアターのブーム到来と終焉、映画が家庭で気軽に見られる時代になり、映画館には厳しい日々。 そんな苦境の中を進み続ける館の経営者達が語る言葉は生々しく、力強い。登場した12館に行ってみたくなった。特に新潟の映画館に。2015/04/06
あび
2
映画館を作る人たちの本。その悪戦苦闘ぶりに感動する。2015/01/26
はっせ
2
どのミニシアターも、上映する映画に誇りを持っているだけでなく、幅広い層のお客さんに幅広く映画を知ってほしいという思いを抱いている。シネマ5の田井肇支配人が「自分の好きな映画をかけている」のではなく、しいて言うなら「応援したい映画をやる」と述べているのはその最たるものでしょう。しかし、どこも広告費にまで手が回らず、宣伝に苦戦しているという厳しい現実も分かりました。それこそ映画好きの市民が応援する形で、宣伝協力できたらよいのにな、と思います。2014/11/29
子音はC 母音はA
2
15館の関係者に取材しそれぞれ章立てにしている。各館が抱えるその地域特有の問題やミニシアター特有の問題が随所に発言から見受けられる。シネコンとの対比の文脈で語られがちだが、個別に探るとその対比では語れない問題が滲み出てくる。2014/07/17
Wallflower
1
卒論でミニシアターについて書きます。誰か参考になりそうな書籍を教えてください‥。 私は映画が大好きで、映画館が大好きで、ミニシアターが大好き。でも、好きってだけじゃなくて、「映画文化」は私たちが守っていかなくてはいけないものだと思った。映画はすべての文化の受け皿で、だからこそ集いの原動力になる、地方にこそミニシアターが必要なのかもしれない。2018/08/10