内容説明
医療関係者や研究者の倫理観の欠如や認識の不足が引き起こした問題が、近年、クローズアップされている。日本社会では、とりわけ組織の利益や存続が優先されるあまり、「利益相反」の問題が深刻化するという特徴がある。しかし、「利益相反」の何たるかを正しく理解している医師、研究者や大学教員は、残念ながら極めて少数である。本書では、活発な研究を行えば生じることのある「利益相反状態」を、「避ける」のではなく「適切にマネジメントする」ことの重要性を、具体例を交えて解説する。
目次
第1章 利益相反とは何か―利益相反の基礎知識(利益相反はなぜ重要か―利益相反と重大な社会問題とのつながり;利益相反とは何か)
第2章 利益相反と社会(利益相反が引き起こすもの;日本社会の特質と利益相反)
第3章 利益相反と大学(研究倫理と利益相反;利益相反に対する大学の取り組み;利益相反と医学研究;組織(大学)としての利益相反とは
日本の大学・学協会における組織としての利益相反を含む利益相反マネジメントの実態調査)
第4章 大学における多様な利益相反問題(新聞報道に見られる利益相反問題の分類とそれに対する意識調査;筑波大学における利益相反とマネジメントの事例)
第5章 利益相反問題への具体的な対応策(筑波大学での対応策;研究者が利益相反に関して注意しなければならない事項(医学研究の場合))
著者等紹介
新谷由紀子[シンヤユキコ]
筑波大学准教授。早稲田大学第一文学部哲学科人文専修卒業、横浜国立大学大学院環境情報学府環境システム学専攻博士課程後期修了、博士(学術)。筑波大学講師を経て2009年より現職。専門は利益相反、高等教育政策、知的財産権など。産学連携学会論文賞受賞(2009)、文理シナジー学会学術賞受賞(2010)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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