感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大臣ぐサン
1
精神科医と宮沢賢治専門の文学者による座談会形式という珍しい組み合わせ。宮沢賢治の幻想性を「解離」という精神障害の観点から読み解く。賢治作品に見られるような幻視体験はASDやADHDの患者さんに多く見られるというのは発見だった。しかし心象スケッチを賢治の言葉どおり見たものをそのまま書いたものとし、それを乖離性障害の症状とするのは無理があるように思う。心象スケッチはあくまで心象のスケッチであり、実際の幻視体験と捉えると読み誤る恐れがある。多角的に読めることも賢治の魅力の一つ。あくまで一つの読み方と捉えておく。2024/08/13