内容説明
日本の貧困率は世界第4位。人間らしい生活を送れない人が増えています。たった一度の借金で、多重債務におちいり、命を落とす人もいるのです。ふつうに働いて、結婚して、子どもを産むことがむずかしいのが、日本の現状です。貧困問題を知ろうとする努力が、あなたの未来を変えていきます。
目次
第1章 貧困ってどういうこと?(貧困とは、「人間らしい生活ができない状態」になること;発展途上国と日本の貧困はどこが違うのか ほか)
第2章 貧富の差を広げる社会のしくみ(気軽にお金が借りられるアメリカ社会;複雑な金融のシステムが恐慌を招いた ほか)
第3章 他人事(ひとごと)じゃいられない日本の貧困(使い捨てされる非正規労働者たちの叫び;日本を代表する大企業も労働者を追い込んでいる ほか)
第4章 未来を生きるために考えなきゃいけないこと(まずは貧困の現実を知ることから始めよう;30年かけてグレーゾーン金利の撤廃を実現 ほか)
著者等紹介
宇都宮健児[ウツノミヤケンジ]
1946年生まれ。「年越し派遣村」名誉村長。弁護士。日弁連多重債務対策本部本部長代行。全国ヤミ金融対策会議代表幹事。オウム真理教犯罪被害者支援機構理事長。「反貧困ネットワーク」代表。「人間らしい労働と生活を求める連絡会議」代表世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たんたん麺
13
みなさんは、犯罪が多い社会に住みたいと思いますか?みなさんは、いつか自分も貧乏になってしまうんじゃないか、とビクビクしながら暮らしたいと思いますか?万が一、貧困におちいってしまったとき、誰も助けてくれなかったら、みなさんはどう思うでしょうか?ひとりひとりが安心して生きていくためにも、みんなが安心して暮らせる社会はどういうものか、真剣に考えるときがきているのです。2014/05/24
がんぞ
4
総じて規制緩和に大反対。2009年だから古い。現在はサラ金のCMよりも『過払い返還訴訟』のCMがうるさい。多重債務者になるのを「浪費より生活苦」とするがギャンブル多。多重債務者はスカウトされ「母さん助けて詐欺」の電話役(金を“摘んで”生きてきただけに口がうまい)や集金役など犯罪に関わり勝ち(高齢者の資金を社会に還流と言えなくもないが。逆探知を避け大陸経由が多く海外マフィアに資す)(対日本人・個人情報収集は国家事業)。クレジットカードローンより金利が高く浪費を招きがちな「リボ払い」について警告してほしかった2014/08/14
左手爆弾
3
この手の本を読んだ人にとってはあまりに常識、あまりに基本な内容が平易な言葉で書かれている。ところが世の中には「貧困って何が問題なの?」「自己責任でしょ」という人が多い。そういう人達は大抵よく知らずに話している。なんとなく、貧しい人達はだらしない人だと思い込んだり、努力不足でそうなったと決めつけている。そんな時には是非この本を読んで、薦めていただきたい。基本的なことは全部書いてある。また、ここに出てくるアメリカのサブプライムローン問題の説明は池上彰がそっくり同じ説明をしていたくらいわかりやすい。2013/01/07
星雅人
3
わかりやすかった。「貧困」と「格差」をごちゃ混ぜにしないというのは、重要なことだな。となりにいる人が貧困状態に陥っているんです。知り合い、友人の経済状態を詳しく把握しているわけではないが、きっとたくさん貧困状態にいる人がいる。自分たちでできることはなんだろう。地方自治体でできることは、なんだろう。考えていかなくちゃ。2011/12/03
すのう@中四国読メの会コミュ参加中
2
日本は福祉国家ではなく、福祉社会。今まではそうでしたが、現在はそれが壊れつつあります。企業の人件費削減、核家族化、都市化…これらによって、地域との繋がりが薄れてきたためです。それならば、その補填を国家がすべきであるのに、小泉首相は正反対の政策を行い、国民もそれを支持しました。誰が総理になっても同じ、と国民は諦めている様子ですが、この状況を招いたのは自分自身。無力感に苛まれるだけでなく、一人一人がきちんと学び、行動していかなければならないと感じました。2012/05/01