目次
1 生きる1(生きる“空間”)
2 移動する1(移動する“空間”1;外は雨 ほか)
3 移動する2(移動する“空間”2(在来線と船とバス)「さまよえる合宿」2012年9月15日‐16日)
4 生きる2(雨と花野;爆ぜる仏手柑 ほか)
著者等紹介
生沼義朗[オイヌマヨシアキ]
1975年(昭和50)、東京都新宿区に生まれる。93年、作歌開始。94年12月、日本大学芸術学部在学中に「短歌人」入会。98年、第43回「短歌人新人賞」(現・高瀬賞)を受賞。2002年、第一歌集『水は檻褸に』(ながらみ書房)を刊行。同歌集で、第9回「日本歌人クラブ新人賞」を受賞。04年、第49回「短歌人賞」を受賞。05年、同人誌「“sai”」創刊に参加。07年、アンソロジー歌集『現代短歌最前線 新響十人』(北溟社)に参加。12年、第2歌集『関係について』(北冬舎)を刊行。17年、別人誌「扉のない鍵」を副編集長として創刊。現在、「短歌人」編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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太田青磁
11
医師は医師と看護師(ナース)は看護師(ナース)と事務職は事務職ばかりと会話しており・工場にモノをつくれる現場にてさわだつ要素がわれにもありぬ・駆動音は車、ポイントの通過音は電車なりけりディーゼルカーは・がま口の口にあらざるところから口開いてきて硬貨は洩れる・〈谷〉の字のつく地を鳥瞰する電車 随所にはりつくごとく擁壁・シャワーヘッドに溜まった昨夜の水冷えて歳月傾くなかに過ごせり・あらためて他者だとおもう、きんつばを呑みこむように食べている妻・もとどりを切ってざんばらになるように雨降るなつの夕暮れである2019/12/17
yumicomachi
4
2019年刊行の第3歌集。観察が思索を通して表現されているさまは、劇的ではないが淡々としてもいない。著者が生きて働いている、現代日本におけるある空間の実態を低めの体温と声で確実に伝えてくるという印象だ。〈医師は医師と看護師(ナース)は看護師(ナース)と事務職は事務職ばかりと会話しており〉〈ゆうやけは空間すべての質感を染めあげてこそはじめて夕焼け〉〈外は雨。とおくに今井美樹の歌聞こえるオフィスは虹のごとしも〉〈センサーに点灯している門灯の白さ、まったく恥じらいのない〉等356首。栞文は西村美佐子、斉藤斎藤。2019/08/13
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