感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
87
☆5.0 歌集です。 「たんか」と入力すると、 「単価」と、 Google予測変換される 『短歌』の単価とは、一体おいくら位なのかな? この歌集に収載されている2首をご紹介。 / 草原を飛んでいく声 唐突に思うことありハイジの老後 // 日本人は刻苦勉励をこのむゆえ最終回にクララは歩く2021/04/17
りゃーん
4
現代短歌の歌壇で、ああ、この人は同時代人だなと私が思うのは生沼氏しかいない。私より二歳下で、元コミケスタッフ。つぶやく歌は私の心の澱に酷似している。抜粋~年上の恋人のごとき香を立てて無塩バターは室温に溶ける/越境という語を思う埼京線に乗って赤羽過ぎてゆくとき/いちめんに向日葵枯れし野を渉る、夏目雅子の享年を越え/失われし十年のなかのあかるさはたとえばグランバザール PARCO/似たような顔の並びし大部屋に大和民族おしなべて鬱/圏外であるトンネルを抜け出ればスパムメールはつぎつぎ届く ね?なんかいいでしょ?2015/08/29
yumicomachi
2
どちらかといえば苦い日常とそれにまつわる思惟が詠まれている。飲食物の歌がどれも見事なまでに食欲をそそらない。(終盤には味覚減退を経験した一連もある)。安易な抒情を排した上で「関係」を定義しようとする静かな闘志と誠実さを感じた。〈辛い一生(ひとよ)と楽しい生活(たつき)の間には人間関係というものがある〉2017/09/12