内容説明
20世紀には「不可能」とされた途上国でのエイズ治療。生きる権利を主張し、国際的製薬企業と対決したHIV陽性者運動が、21世紀に入り、その「夢」を現実のものにしてきた過程を跡付ける。
目次
第1章 HIV陽性者の苦しみとエイズ対策の遅れ(当事者によりそう対策の欠如(当事者の苦しみ):ザッキー・アハマットという生き方
証言する裁判官:HIV陽性者エドウィン・キャメロンの見た南アフリカにおけるエイズ対策の課題)
第2章 HIV陽性者運動の展開:NGO・ネットワーク組織の事例(トリートメント・アクション・キャンペーン(TAC):南アフリカ
ケニア・エイズと共に生きる女性たちのネットワーク(Kenya Network of Women with AIDS:KENWA)
ナイジェリア治療アクション運動(TAM)の結成)
第3章 アフリカのHIV陽性者運動がもたらした変革1(2000年以降の変革期):国際的な対応(国連アフリカ経済委員会主催アフリカ開発会議:アディス・アベバ(2000年12月)
世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)(2002年1月)
国際エイズ治療体制構築サミット最終報告書(2003年7月)
3by5イニシアティブ
アフリカ連合(AU)「エイズ・結核・マラリア・その他の関連する感染症に関するマプート宣言」(2003年7月))
第4章 アフリカのHIV陽性者運動がもたらした変革2:治療薬特許権とARVをめぐる動向(エイズ治療薬特許権をめぐる問題;ARVを巡る先進国での争い:シアトルWTO閣僚会議で表面化したエイズ治療薬と知的所有権の問題;途上国でのエイズ治療の可能性を開く:ブラジルの挑戦;南アフリカの農村部における草分け的ARV治療アクセス;西ケープ州における抗レトロウイルス薬治療実施の錯綜する諸課題)
終章 エイズに関わる当事者運動と生存
著者等紹介
新山智基[ニイヤマトモキ]
1983年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科先端総合学術専攻一貫制博士課程修了(博士(学術))。現在、立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー。2004年から現在に至るまで国際NGOである神戸国際大学ブルーリ潰瘍問題支援プロジェクト(Project SCOBU)の活動に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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