内容説明
似て非なる日本手話と日本語対応手話(手指日本語)。そもそも手話とそうでないものを並べることのおかしさを明かす。解説編の第1部と、著者自身の写真表現を使用した豊富な例文でその違いを明らかにする実例編の第2部で構成された、手話話者、手話を学ぶ人、言語に関心をもつすべての人の必読書。
目次
第1部 日本手話と手指日本語(日本語対応手話)(日本語対応手話は手指日本語;いろいろな言い方がある;「同時法」について;日本の手話はひとつ? ほか)
第2部 実例編(基本文―手指日本語にはNMM(非手指動作)がない!
時間を表す表現―時間を表わす表現とは?
日本手話らしい表現を手指日本語でやるとどうなる?)
著者等紹介
木村晴美[キムラハルミ]
山口県生まれ。ろうの両親から生まれ育ったろう者。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官(1991年~)。NHK手話ニュース845の手話キャスターとして出演中(1995年~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
20
手話単語を覚え普段話す文章で並べれば、聾者に通じるというのは大きな間違い。また、語彙の持つ意味範囲が異なる単語もある。例えば「この家は100年も経つ家なんだね」これを日本手話(聾者の手話)で表すと、100+年+前+家+硬いとなる。硬い(丈夫)を当て嵌めるのがポイント。日本語対応手話(手指手話)を矯正する指針が掴めるのが本書だ(日本手話の使い手になりたいと益々思った)。2013/06/21
みっふぃー
6
手話って世界共通なの?って聞いてくる人もいるけど、世界共通どころか日本の中でもいろいろあります。そして、スピーチしながら手話をやっているのをよく見かけますが、あれは日本手話ではなくて、日本語を手で表している手指日本語(日本語対応手話)です。私は日本手話を学びたいので早いうちに区別しようと思って読んでみました。感情を表す表情だけではなくて、文法のいろんなことが表情に含まれていて、なかなか奥が深いと思いました。2021/03/29
じゅこ
4
日本手話と日本語対応手話(手指日本語)の違いについて、多くの例文、写真を使い明確に説明されており、いまの自分はどこに当てはまり、なにが足りないのかを確認する良いきっかけになった。レイターサイナー、コード・スイッチ、コード・ミキシング、コード・ブレンドについても説明されている。言語を学んでいく過程で、相手の文化に触れることは自然な流れであるし、知ることが理解への近道になることもあると感じた。この先、どのような手話で話せるようになりたいか、そのためには何が必要かという目標意識を持つことができた。2011/09/08
まーれ
3
著者の方は、闘っているのですね。日本手話が日本語とは別の言語体系だということが多くの人に理解される世の中になりますように。2016/04/06
Sosseki
2
写真だけで(恐らく余程丁寧に教えてもらわないと)なかなか分からないが、文法は全く違うし、言葉の意味も相当違うし、本当に外国語を同じようだ。日本人だからと言って日本手話の方が、英語手話より覚えやすいということもなさそうなレベルだということだけ、分かった。ろう者は視覚を聴者の何倍も使っているのだろう。2016/06/10