内容説明
身体=人間の普遍性を発見し、語るために。身によって人間が区別され、それにより引き起こされる社会関係とはどのような事象か。フーコー、ドゥルーズ、ターナーらの思考やフェミニズム、障害学・障害者運動を手がかりに、現実の社会に影響を与えうる“身体の社会学”の構築を志向し、現実にある課題を打ち開く(ブレークスルー)ことを目指す。“身体の社会学”を基軸にした、差異と排除を超えるあらたな社会理論の試行へ。
目次
第1部 身体と社会(身体の社会学―身体の被制約性と能動性をめぐる問い)
第2部 人間を分ける身体(障害者/健常者カテゴリーの不安定化にむけて―「生物学的基盤主義」とアイデンティティ・ポリティックスへの問い;障害者とポスト近代社会のバイオ・ポリティックス;障害者の自立生活にみる「生存の技法」)
第3部 人間をつなぐ身体(「境界侵犯する身体」―身体のエージェンシーについての試論;普遍性の構築―身体の「傷つきやすさ」を起点として)
著者等紹介
後藤吉彦[ゴトウヨシヒコ]
1977年神戸市生まれ。神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、立命館大学障害学生支援室・コーディネーター。専門は、身体の社会学、障害学、ブラック・カルチャー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takizawa
2
バトラー読解のキーになりそうなので興味を持って読んでみた。Q:身体と社会の関係は?A:社会が身体に影響を与え、その身体に社会は左右される。両者は循環的に作用する。Q:戦略は?A:障害者/健常者の二項対立を自明視せず、カテゴリーを不安定化させること。例えば、車椅子なのにあえてエレベーターを使わないといった実践。あるいは、「境界侵犯する身体」による、一人の人間に一つの身体という対応性を揺らがせること。障害者だけが持つとされる傷つきやすさは、普遍的に共有できるもの。さて、バトラーを読もう。2009/08/27
awe
1
身体の社会学には2つの潮流がある。それは、身体がいかに社会から影響を受けているかを明らかにする批判的身体論、そして身体をそうした受動的な存在だと限定せずに社会に影響を与えていく可能性を持つものとして捉え、身体の経験に内在的に現象学的な視点から研究を進めていく反決定論としての身体論である。最近の潮流としては、構築主義批判の中で前者の限界が明らかになり、現象学的社会学やエスノなどの手法で後者の研究がなされるようになっているという感じなのだろうか?本書ではあまり記述がなかったが、ハビトゥスは身体の社会学では2019/02/19
Bungorai
1
数カ所で議論の結論に結びついているのかよくわからない点があったり、ロマンティサイズすべきでないといいつつ言い方がロマンティサイズしている部分があったが、ポストモダンやデカルト的といった比較的難しい単語が読んでいるうちにわかるようになっていたり、また文献の引用も丁寧で非常に読みやすく感じた。また障害学のブレイクスルーとしてだけではなく、エスニシティなどに使えそうな理論であると考えられ、その意味で非常に示唆的で広がりのある内容だったと言える。2012/09/23
発泡スチロール
0
新たな視点を提供してくれるが若干結論が弱いのは今後の課題か2012/02/26
E
0
結局バトラーだよね・・・2019/11/24
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