内容説明
全四巻、二十万語の辞書をひとりで完成させた言葉の収集家ウラジーミル・ダーリ。民衆の間で使われている生きた言葉を生涯かけて集め続け、言葉の意味や用法よりも言葉そのものの深みと広がりを伝えることに心をくだき、独自の配列の辞書にたどりついたダーリ。その後の世代にとって辞書の代名詞ともなったダーリの営みは、ロシア文化の重要な光源であると同時に、いまの私たちが抱える言葉の問題にまで届く光を放っている。名だたるロシアの作家たちが頼りにし敬意をはらったダーリの歩みを知る本格評伝。
目次
第1章 旅支度
第2章 しっかりした根から
第3章 始まり
第4章 プーシキンの強い求めで
第5章 地方色
第6章 焚火はひとりで組める
第7章 ことわざは言い得て妙
第8章 偉業
付記 多年にわたる責務―「識字」をめぐるダーリの見解再読の試み
著者等紹介
ポルドミンスキイ[ポルドミンスキイ] [Порудоминский,Владимир]
ウラジーミル・イリイチ。1928年、モスクワ生まれ。作家、評論家、エッセイスト。特に伝記作家として定評があり、プーシキン、ゴーゴリ、ダーリ、レフ・トルストイらの伝記を執筆。ロシアの古典作家の作品集の編者、注釈者としての仕事も多い。現在、ドイツ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
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“言葉の収集家”、ウラジーミル・ダーリ。全4巻20万語を収録した『現用大ロシア語詳解辞典』をたったひとりで完成させた人。本書は1801年に帝政ロシアに生まれ、およそ半世紀にわたり辞書を編纂し続け、晩年にはなんと14回も校正をした上でこの辞典を世に送り出したダーリの伝記だ。プーシキンの親しい友人で、ゴーゴリに絶賛された人でもある。そんな彼の伝記が、読み物として面白いだけでなく、「言葉」についてあれこれ考えさせられもするのは、ある意味当然のことだった。 2020/09/22
snijeg
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こんなに言葉に対し、誠実な対応をした編纂者の存在を知りませんでした。 彼自身が多言語話者だった事が大きいのかも知れません。 大作家との交友やダーリの人となりが良く理解出来ます。 一気に読み終えた作品でした。2023/10/19