内容説明
昼と夜、結婚と恋、日々の現実と詩的幻想…ふたつの世界を行き来する18歳の貴族の令嬢。社交界のなかで理想の男性を求める若い女性たちと、ひたすら娘の将来の安定を保証する結婚を願って画策する母親たち。そして娘たちの選択は…。恋愛小説の原型となったプーシキンの『エヴゲーニイ・オネーギン』に挑むように女性詩人が恋物語の枠を越えて果敢に深く描いた“愛と結婚”。20世紀に花開いたロシアの女性詩人たちの先駆者としても大きな影響力をもち、欧米でも女性文学の視点で高く評価されているロシア文学のもうひとつの原点。
著者等紹介
パヴロワ,カロリーナ[パヴロワ,カロリーナ] [Павлова,Каролина]
1807‐93。10代後半からモスクワの名高い芸術サロンに参加、ロシアの詩のドイツ語訳などで才能を認められた。新進作家のパヴロフと結婚してからは当時有数の文化サロンを開催し創作にも取り組み、1848年に最初の長篇『ふたつの生』を出版。その後、夫の乱れた生活から家庭は崩壊、55年にはロシアを去ってヨーロッパを転々としたあと、ドレスデンに定住。祖国を離れて創作活動をつづけ、A・K・トルストイの作品をドイツ語に翻訳して絶賛されたりもしたが、86歳で波瀾にとんだ人生を終えた
田辺佐保子[タナベサホコ]
ロシア文学研究・翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。