内容説明
日本・韓国・フランスの民話や民間信仰のなかの“異郷”を読み解き、妖怪・幽霊・神・祖霊を語り伝えてきた物語の構造と世界観をさぐる、比較民俗学の試み。
目次
第1章 民話のなかのふしぎな世界―町と村と森と山
第2章 ふしぎな世界の住人たち―妖怪と幽霊と神
第3章 韓国の神・妖怪・異郷―奄尾里の民話「黄判書」
第4章 韓国人の霊魂と悪霊のゆくえ
第5章 フランスの来訪神
第6章 クリスマスとカーニヴァル―神の訪れを祝うふたつの祭り
著者等紹介
樋口淳[ヒグチアツシ]
1946年生まれ。専修大学文学部教授、東アジア民話データベース作成委員会委員長。1969年より1975年までベルギー、1980年より1981年までフランスに政府給費留学生として滞在。1988年に慶煕大学校客員教授として韓国滞在。民俗調査を行い、比較民俗学会日本担当理事をつとめた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
5
事例解説による、民俗学(著者の立場からすれば、本来の民俗学としての、一国民俗学を超えた、比較民俗学)、さらには宗教民俗学のすばらしい教科書だと思いました。従来学説をベースに、樋口先生の研究の蓄積が、非常に明快にまとめられていると言えましょう。ですます調でカラー写真も満載、論旨明快ですごく読みやすい。大学生なんかにちょうどいいんじゃないかな。図書館の棚でたまたま見つけたのですが(セレンディピティ!)もっともっと知られるべき良書ではないでしょうか。2023/08/23
かいこ
4
民話の形態学、民俗学の基本事項をさらいながら日本・韓国・フランスの民俗における神・妖怪・霊の諸々について。とても面白かったし勉強になるので手元に欲しい。韓国の悪霊、日本とフランスの来訪神とそれに連動する祭りの話が興味深い。2018/07/06