内容説明
透徹したテキスト読みの照射する先に、詩人フランソワ・ヴィヨンは消えた!ヨーロッパ中世という歴史の舞台を彩った有名無名の青春群像を、みずみずしい筆致で、臨場感ゆたかに描きつつ、ヴィヨン=無頼詩人“伝説”の虚実に迫る。
目次
第1部 回想のヨーロッパ中世(ドン・キホーテの風車;ロワールの春;運命女神の歌;孤独な哲学者;尼僧院の暦日;時代の典型;パリの青春;そのかみの貴女のバラッド;無名の旗;また、ジャンヌ、気立てのよいロレーヌ女;王の塩倉庫;去年の雪)
第2部 青春のヨーロッパ中世(放蕩息子の帰宅;ヴィヨンの歌祭文;老人の文学;若者は書を捨てて)
著者等紹介
堀越孝一[ホリコシコウイチ]
1933年、東京生まれ。1956年、東京大学文学部卒業、1966年、同大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。専門はヨーロッパ中世史。茨城大学、学習院大学をはじめ、多くの大学で教鞭をとる。学習院大学名誉教授、日本大学文理学部大学院講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yasuo Uematsu
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せっかく発売前に贈っていただいた本なので、すぐに紹介しようと読み始めたのに、雑事に追われて2週間が過ぎてしまった。著者は絵画や詩にも造詣が深い、言わずとしれた西洋史の碩学。私は今さらながら「十二世紀ルネサンス」が気になって、堀越孝一先生も関わったある本を読み出した翌日に本書が届けられ驚いた。旧著の合本だが《堀越節》にのせられて第I部は歴史小説的エッセイを読むように、第II部はヴィヨンをめぐる知的な冒険にお供するかのような気分で楽ませてもらった。ただ、「ローマ教皇」を「法王」と表記されるのには抵抗を覚える2012/06/01