内容説明
舞台はイタリア北部コモ湖畔の風光明媚な田舎町ベッラーノ。アンナ・モンターニの夫は徴兵され、ソ連の戦場に送られて行方不明となってしまう。戦争は終わったが、夫は何年も帰ってこないため、戦死したのかどうかも分からない。結局、夫の消息について何の手がかりもないため、彼女は自分が未亡人になったのかどうかも証明できない日々が続く。戦後まもなくのイタリアで、決して豊かとはいえない時代を生きる普通の人々が、それぞれ自分の幸せを求めて日々を生きている。しかしそんな生活の苦労がこれ見よがしに悲劇的に描かれることなく、ユーモアと奇妙さを伴いながら、人生の悲哀が笑いとともにそこはかとなく描かれていく。一生懸命に生きるがゆえに噛み合わず、未亡人をめぐる展開はあらぬ方向へと次々と展開していく。可笑しいながらも、どこか温かみに包まれた、そんな不思議なストーリー。
著者等紹介
ヴィターリ,アンドレア[ヴィターリ,アンドレア] [Vitali,Andrea]
1956年イタリア、コモ湖畔のベッラーノ生まれ。ミラノ国立大学医学部を卒業後、故郷で医者の仕事に従事する。1990年に「Il procuratore」で作家としてデビューし、「L’ombra di Marinetti」で1996年度のピエロ・キアラ文学賞、さらに「La figlia del Podest`a」で2006年度のバンカレッラ賞を受賞。『ブティックの女』で2008年のイタリア・ヘミングウェイ賞を受賞している
久保耕司[クボコウジ]
1967年福岡県生まれ。北海道大学卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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