内容説明
西洋文明受容によって進められた明治維新は、近世までのジェンダー秩序を大きく変えた。女性労働とファッション、尊攘思想と在地農村出身女性の政治参加、教育や相続に関わる女性と女性観、芸娼妓解放令をめぐる地域社会と娼妓の行動、子どもを産み育てることの変化などを論じることで、明治維新が女性にとっていかなる意味を持ったのか明らかにする。不可視化されてきた女性/男性のありようを浮かび上がらせ、幕末維新期における性差の変容を描き出す。
目次
総論 明治維新と女性
1 ファッションをめぐる社会の変容―在来産業の技術革新と女性
2 地域社会における女性と政治―黒澤止幾子を中心に
3 明治維新期のリテラシーとジェンダー
4 明治前期の判決例にみる女性と相続
5 幕末維新期の社会と性売買の変容
6 セクシュアリティの変容と明治維新―芸娼妓解放令の歴史的意義
7 「産み育てること」の近代