内容説明
19世紀末から20世紀初頭、東アジアは大きな転換期を迎えた。東アジア東隅の一国でしかなかった日本が、日清・日露戦争により植民地を獲得して、欧米にならった帝国となり、その日本の膨張に抵抗し続けた朝鮮はついに「併合」されてしまう。一方、アヘン戦争以来、半植民地の状態に置かれていた清国は辛亥革命により新しい国を創り出していった。アジアが、近代国家を形成する地域と植民地になっていく地域とに引き裂かれていく時代のなかで、互いに連鎖していく知識人たちの様々な思想を明らかにする。
目次
1 抵抗と革命(孫文―中華民族意識の源流;田中正造―環境思想の先駆者;幸徳秋水と初期社会主義者たち―ナショナリズムをこえて;朝鮮の義兵将―階層を超える抗日運動・正規兵意識;ファン・ボイ・チャウ―ベトナムの社会ダーウィニスト)
2 ナショナリズムの思想(徳富蘇峰と陸羯南―「独立」言論の苦難;内村鑑三―「天職」の地理学;梁殷植―「大韓精神」と「大同社会」)
3 アジア主義(宮崎滔天―浪花節と革命思想;章炳麟と劉師培―北東アジア地政力学下の革命理論;愛国啓蒙運動と張志淵―「東方の君子国」の儒者の誇り;玄洋社と黒龍会―国権主義・アジア主義)
4 言論と出版(黒岩涙香―社会を刺激し続けた奇才;添田唖蝉坊―「民衆」として生きた知識人;申采浩―民族の主体性奪回のための闘い;張元済と商務印書館―出版業と近代的教科書の成立)
5 実業と国家(張謇―実業救国の道を選んだ政治家;渋沢栄一―「民」による近代社会構築をめざして;李容翊―時代の矛盾を体現した政治家)
著者等紹介
趙景達[チョキョンダル]
1954年生まれ、千葉大学文学部教授、専攻は朝鮮近代史
原田敬一[ハラダケイイチ]
1948年生まれ、佛教大学歴史学部教授、専攻は日本近代史
村田雄二郎[ムラタユウジロウ]
1957年生まれ、東京大学大学院総合文化研究科教授、専攻は中国近代思想史
安田常雄[ヤスダツネオ]
1946年生まれ、神奈川大学法学部特任教授、専攻は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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