内容説明
幕末史を考えるとき、もはや薩長両藩を中心にすえて考える時代は去った。複雑な利害関係にある諸政治勢力を、討幕派と佐幕派の二項対立図式で描くことは、もはや許されないのである。本書は、長州藩内の「俗論派」といわれた人々や薩摩藩内の反討幕派、さらに中立諸藩や朝廷内の下級公家勢力など、これまでの薩長討幕派史観によって光が当てられてこなかった勢力をはじめて分析し、新たな幕末維新史を構想する。
目次
序 幕末維新史の再構築にむけて
1 長州藩正義派史観の根源―天保改革期の藩内勢力と政治力学
2 文久二・三年の尾張藩と中央政局―徳川慶勝・茂徳二頭体制下の尾張藩の政治動向
3 文久三年京都政局と米沢藩の動向
4 幕末朝廷における近臣―その政治的活躍のメカニズム
5 京よりの政治情報と藩是決定―幕末期鳥取藩池田家の情報収集システム
6 長州再征の目的―慶応二年六月開戦前後の徳川幕府
7 将軍空位期における「政令一途」体制構築問題と諸侯会議
8 武力倒幕方針をめぐる薩摩藩内反対派の動向
著者等紹介
家近良樹[イエチカヨシキ]
1950年大分県に生まれる。1973年同志社大学文学部卒業後、同大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、大阪経済大学経済学部教授、中央大学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
-
- 和書
- 描けるコピック