感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
11
さすがに第二次大戦前後ともなるとファナティックで反ユダヤ主義的な部分も目につくが、「レヴィアタン」という神話的イメージの変遷をたどりながら、ホッブズの国家論が世俗的、機械的国家のイメージの源となり、やがて中立国家に変化しながらホッブズ自身の意図をも裏切っていく様を描いた「レヴィアタン」の面白さは凄い。露骨な差別文もあるものの、神話的想像力から思想史を語り直すという、シュミット独特の文章力が存分に活かされた名文が多く収録されている。解説もシュミットの全体像を分かりやすく紹介している2014/11/22
D.Okada
2
ゼミ論、卒業論文で参照するために購入(2冊で2万円弱は痛い)、今でもお世話になっている。編者による「シュミット再読」から得たものもある。欲を言えば、『政治思想論集』にその緒言の抄訳が収められている教授資格論文Der Wert des Staates und die Bedeutung des Einzelnen(「国家の価値と個人の意義」)も翻訳されていたらなと甘ったれたことを考えてみたり...。いわく「国家の価値」論文は「まったく不親切な文学的アフォリズムにみちみちている」(尾吹善人)らしいのだが。