感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
22
陸のエレメント=ベヒーモスと海のエレメント=リヴァイアサンの戦いとして世界史を読み、ヴェネチアといった海洋国の歴史、英国の海洋覇権による空間革命の衝撃を詩情たっぷりに語り読みやすくも味わい深い。捕鯨者と鯨の競争による島々や航路の発見、過ぎ去りし海賊の時代の意義、そして現代、新たに始まりつつある空の空間革命。争いに世界史の進展の原動力を見るシュミットらしさも健在だが、ミシュレにもリスペクトを捧げる格調高い文章からは純粋な世界史への興味と憧憬が感じられる。短くて読みやすいのもよし2014/08/15
小鈴
12
シュミットが娘のために書いた世界史。陸から海へ。船舶技術の向上で、空間概念が変化し、空間革命が起きる。海を制したイギリスに資本が集積し(海賊資本主義)、産業革命が起こると同時にリウ゛ァイアサンは機械に取って替わられ、世界支配のエネルギーを内から失っていくのである。海と陸のエレメントの対抗的分業の歴史。無限の空虚な空間という観念の成立、合理主義の浸透、世界貿易と自由貿易の思想、近代化。簡潔にまとめられているが深い。2009/09/02
ykoro
5
海への空間展開の発想は面白い。オランダの位置づけは、納得がいった。2015/04/08
フクロウ
3
世界史における覇権の変化を経験的空間把握及びノモス(根源的規範?)の変化として描出する論考。中でも陸/海が対抗関係におかれ、それはビヒモス/リヴァイアサンの比喩に置き換えられる。イギリスが覇権を握ったのはイギリスだけが海の観念を持ち得たから。もっとも、人間が空を経験的に把握した飛行機や電波登場以降は、ビヒモス、リヴァイアサンに続けて巨大な鳥が必要だとシュミットは言う。山本龍彦はプラットフォーマーを国家=リヴァイアサンに対するビヒモスとして描出するが、むしろグリフォンあたりが妥当だったのではないか。笑2023/01/11
Ai Watanabe
1
ねむひ。。。まあまあおもしろかった。。。2015/08/04