内容説明
梗概・翻訳の名人である鴎外が「ベルリナー・ターゲブラット」の記事をもとに自分の見解もうまく盛り込み、同時代の西洋の社会、文化、政治を紹介した『椋鳥通信』は、作家としての鴎外の秘密、また人間鴎外の素顔も窺える重要で興味深い作品である。
目次
『椋鳥通信』における鴎外の引用戦略―「市民的公共圏」を求めて(鴎外の引用戦略;「市民的公共圏」;『椋鳥通信』における政治問題;原文引用の戦略)
森鴎外の『椋鳥通信』―『さへづり』・『沈黙の塔』へ(文芸誌「スバル」への連載;「無名氏」とは誰か;女性投稿雑誌「女子文壇」への転載;『さへづり』と『椋鳥通信』;革命と大逆事件・『沈黙の塔』)
二十年後の海外通信員―『舞姫』と『椋鳥通信』(紀行文;留学の目的;「民間学」と海外通信員;『椋鳥通信』が伝えようとしたもの;エリスと海外通信)
森鴎外とミュンヘン画壇―『独逸日記』から『椋鳥通信』まで(ミュンヘンでの出会い;「美術都市」ミュンヘンの栄光と没落;帰国後の原田直次郎と鴎外;『椋鳥通信』の美術記事と青春の残照)
森鴎外のドイツ観劇体験―日本近代劇の紀元(ライプツィヒ時代;ドレスデン時代;ミュンヘン時代;ベルリン時代と帰国後の演劇への関心)
著者等紹介
金子幸代[カネコサチヨ]
お茶の水女子大学大学院修士課程修了、一橋大学大学院博士後期課程満期退学、富山大学名誉教授。専攻は日本近代文学・比較文学。主に森鴎外研究(特にドイツ留学時代、および日独の女性解放運動との関係)、女性雑誌の研究、映画と文学の文化史的研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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