内容説明
日本語の文字体系・書記方法は、どのようにして誕生したのか。万葉歌の木簡の解読などで知られる上代文字言語研究の権威による日本語史・文字論の明解な論述。
目次
日本語の文字体系と書記方法の個性
日本語には固有の文字がなかった
古典中国語の文字を借りて日本のことがらを書く
訓よみ―漢字に日本語をあてて読み書きする
音よみ―古代中国語を日本語のなまりで発音する
万葉仮名―漢字で日本語の発音を書きあらわす
漢字と日本語との接触―八世紀の兄弟姉妹概念と語彙
漢字で日本語の文を書きあらわす―古事記の選録者たちの工夫
日常業務と教養層の漢字使用―平仮名・片仮名の源流
仮名で日本語の文を書きあらわすには?
古代の漢字資料としての出土物
紫香楽宮跡 万葉集の木簡発見
著者等紹介
犬飼隆[イヌカイタカシ]
1948(昭和23)年名古屋市生まれ。東京教育大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。学習院女子短期大学助教授、神戸大学教授を経て、愛知県立大学文学部国文学科教授。文字言語を対象とする理論的・実証的研究に従事し、古代史・考古学との学際研究をすすめている。1993(平成5)年、筑波大学より博士(言語学)の学位を授与(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2022/12/30
ふみ乃や文屋
0
書名に漢字とあるので漢字学かと思って読んだのですが、内容は多分に国文学の要素が多かったです。もちろん、日本も古代は漢字しかなかったので当然といえば当然なのですが、用例は和歌が多数。中国的本格的漢字学かと思って読むとちょっと物足りないかと思います。でも、漢字に興味があるならいろんな視点から見るのは大切です。2016/01/22
samandabadra
0
言語は表記によって、形を変えるし、言語自体に関するイメージも変わる。今表記されているひらがなのおかげで日本語は開音節言語のように言われるが、実はそうではない。ま、そういった話はともかくとして、漢字という表記体系を日本語にどのように適応させて言ったか。その過程で日本語にどのような変化が起きたか、あるいは漢字による表記法はどのように変わっていったかの歴史を掘り起こした非常に面白い本でした。2015/09/22
へのへのもへじ
0
「支那語」を表記する字で、日本列島の「声ことば」を表記するのは事実上不可能。それを可能としていく過程を克明に追っているのだが。「飼い馴らす」とは比喩が過ぎる。2011/04/04
メルセ・ひすい
0
研究者用 学術書 漢字の「飼い慣らし」から「品種改良」へ−。日本語の文字体系・書記方法は、どのようにして誕生したのか? 上代文字言語研究の権威が、日本語史・文字論を明解に論述する。2008/11/19