花に逢はん (改訂新版)

花に逢はん (改訂新版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 371p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784903174136
  • NDC分類 916
  • Cコード C0036

内容説明

著者がハンセン病に感染したのは、戦禍の中、家族とともに逃避行を続けた、デイゴの花咲く沖縄であった。九歳頃に発病し、次第に自覚してゆく苦痛を、毎日の高価な投薬で堪えていた。中学校の定期検診を機に、療養所生活が始まる。校庭の片隅で焼き払われた自分の机と椅子、家族との離別、親戚縁者に累が及ばないようにと与えられた“関口進”という新しい名前―。これからの自分を考え、底知れない不安感に襲われる日々の始まりだった。だが、道は少しずつ切り拓かれていった。中学までしか学べない沖縄の療養所を出て、高校のある本土へ行く夢。そして、東京での自活生活。ゆくさきは峻厳な道ばかりであり、何度もひるんでは後退したが、固い意志をもって貫き通すのだった。ただ口を閉じ、身を潜め、時間の経過に身を委ねているだけでは、社会的弱者はいつまでも生きられない。この許せない壁に、かならず風穴を開けてやる!これは、信念をもって差別や偏見と闘い、過酷な病気の障壁と無慙な運命を打ち破ったハンセン病回復者の、自らの半生を綴った感動の記録である。私たちの隣人として、共に過去を克服し、共に今を生きることへの人間の絆の尊さと愛の人間讃歌が、ここにある。第十八回沖縄タイムス出版文化賞受賞。

目次

一列縦隊
屋我地島
紅樹
ニングヮチカジマーイ
姶良野
瀬戸内海
烙印
人間の虹
砂の家
地下茎
かぎやで風

著者等紹介

伊波敏男[イハトシオ]
1943(昭和18)年沖縄県生まれ。14歳からハンセン病療養所で生活を始め、沖縄、鹿児島、岡山の療養所での治療を経て全快。その後、東京の中央労働学院で学び、1969年、社会福祉法人東京コロニーに入所。1993年より約3年間、社会福祉法人東京コロニーおよび社団法人ゼンコロ常務理事をつとめる。1997(平成9)年、自らの半生の記『花に逢はん』を出版、同年12月、第18回沖縄タイムス出版文化賞を受賞。ついで、『夏椿、そして』を著し、ハンセン病文学を問い続ける。作家。2004(平成16)年より、信州沖縄塾を主宰し、塾長となる。以降、沖縄の近現代史を基礎から学ぶ特別講座を開講している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

最近チェックした商品