内容説明
「不愉快な事件」とは啄木が妹・光子に送った手紙の中に書かれていた「不愉快な事件」のことを指す。啄木の友人・京助は「啄木末期の苦杯」と言い、光子は「啄木の妻・節子の晩節問題」と言っているが、ことの真相は不明のまま現在に至っている。著者はこの問題について、可能な限りの資料と、精神科医としての知見を動員し、「郁雨・節子(不義・不貞)問題」決着への強い意思を持って本書を著した。啄木研究者はもとより、啄木愛好家にとっても、その賛否を越えて押さえるべき、必読の一冊となった。
目次
「不愉快な事件」とは
啄木の妹・三浦光子著をどう読むか
明治四十四年四月二十六日啄木日記をどう読むか
小姑と嫁 光子と節子の場合―友好から怨恨への転変
丸谷喜市の苦悩
忠操と郁雨
啄木の「忠操恐怖症」
郁雨の歌
郁雨の節子への心情
喧嘩と仲直り
諸家の論考
著者等紹介
西脇巽[ニシワキタツミ]
1942年6月1日、福井市生まれ。1968年、弘前大学医学部卒業、精神医学専攻。1973年、八甲病院副院長、1975年以降より院長、2003年より名誉院長。2006年より生協さくら病院(旧八甲病院)名誉院長。国際啄木学会理事。文芸同人『青森文学会』会長。青森ドクターズ・ヨッチミラー合唱団団長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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