内容説明
ファウストってどんな人?メフィストーフェレスの正体は?名前は知れども意外と内容は知られていない文豪ゲーテの代表作『ファウスト』。20代から構想し、60年余の歳月を費やし、80代、死の間際、ようやく完成にこぎつけたこの長編戯曲にこめたゲーテの想いとは?古典解説で定評のある仲正昌樹氏が、読者とともに1万行余にわたる原典を丹念に読み込み、その真意を探る。とかく難解として敬遠されがちな『ファウスト』が身近に感じられるようになる一冊。
目次
第1回(前狂言三五行~第一部書斎一三四四行)
第2回(第一部書斎一三三五行~第一部寺院三九三五行)
第3回(第二部第一幕、皇帝の居城~遊苑六一一八行)
第4回(第二部第一幕、皇帝の居城―暗い廊下六一七五行~第二部第三幕、木陰の多い森九九〇六行)
第5回(第二部第四幕、高山一〇一二九行~第二部第五幕、山峡・森・岩・荒涼たる所一二一一一行)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年、広島県呉市出身。1995~1996年、ドイツ学術交流会給費留学生としてマンハイム大学に留学。帰国後、駒澤大学文学部非常勤講師(哲学・論理学)などを経て、2004年、金沢大学法学部(現法学類)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
43
『教養としてのゲーテ入門』と共に読むと一層、楽しめる。また『ファウスト』だけに留まらず、文学を思想的に読む「読み筋」のコツのようなものが語られている。良く出来ていると思うが、レビューが一切ないところをみると全く読まれていない。16年に行われた企画の文字起こしで、出版からも6年経っているところから、人気のなさは明らかだ。著者のというよりも、読者の文学に対する見方が変わったのではないか。前提となる知識を要し、どちらともつかない表現で冗長に語られることに、少なくとも思想書よりも力があるとはみなされていない。2023/06/16
Kooheysan
2
新潮文庫版(高橋義孝・訳)の『ファウスト』をテキストとした読書会の記録。私は中公文庫版(手塚富雄・訳)を読んでいますが、だからと言って使えないわけではなく、むしろ2つの訳本を比較できたりしてお得だったかもしれません。文学的センス(本文中に言及有)が明らかにない自分としては、実際の深読みの仕方(特に欲望を巡る貨幣と性的なものの関係)について、興味深く勉強できました。2024/09/29