内容説明
時代はケインズを呼び戻す!財政規律?緊縮主義?コロナ禍の逼塞状況に抗い、突破する答えはケインズにある。しかし、彼の全体像は意外と知られていない。本書は人間ケインズの個人史・価値観・学問論・政治論・経済学の本質を簡潔に論じた思想家西部邁初期の傑作であり、恰好の入門書でもある。今こそ読まれるべき一冊だ!
目次
第1章 個人史(肖像;家庭;学校;ブルームズベリー;経済学;妻、農場、劇場、投機、病気など)
第2章 価値観(道徳;『若き日の信条』;理想;ハーヴェイ・ロード)
第3章 学問論(哲学;解釈;文章;歴史)
第4章 政治論(活動的生;計画;国家:大衆)
第5章 経済学(『一般理論』;期待;慣習;『わが孫たちの経済的可能性』)
著者等紹介
西部邁[ニシベススム]
1939年、北海道出身。1964年、東京大学経済学部卒業。横浜国立大学経済学部助教授、東京大学教養学部教授をへて、秀明大学学頭などを歴任。1983年『経済倫理学序説』で吉野作造賞、1984年『生まじめな戯れ』でサントリー学術賞。1994年には評論活動に対して第八回正論大賞を受賞。同年より月刊オピニオン誌『発言者』(秀明出版会)の主幹を務めるが、2005年に廃刊し、同年6月より後継隔月誌『表現者』の刊行に尽力、顧問に就任した(2017年11月辞任)2018年1月21日、多摩川にて入水死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぱぴ
2
理論と実践の間を生き抜き経済界の英雄として知られているJ.M.ケインズの、人物像や生き様、時代の空気等を浮き彫りにし、西部邁という解釈像に照らし合わせて描き出された唯一無二のケインズ本。混沌とした大衆文明社会に生きる唯一の希望(そう言えるか分からないが)は、誰もが「精神的貴族」を志して自身の生を全うするチャンスが平等に転がっていることであり、この書は大いなる参考の書、指南の一冊である。30年以上前に執筆され、1度復刊させられていた本書が、何故今またひっそりと復刊させられたのか分かった気がした。 2022/04/10