目次
第1章 現代思想に於ける若者的主体像の変容(八〇年代―それは『構造と力』から始まった;既存の「主体」観への懐疑 ほか)
第2章 ルソー『孤独な散歩者の夢想』を読む(ルソーの文学的側面;「孤独」と「哲学」の関係 ほか)
第3章 『“日本の思想”講義―ネット時代に丸山眞男を熟読する』(作品社)刊行によせて(『日本の思想』が受け入れられた社会的背景;知識人の地盤沈下とその意味するもの ほか)
第4章 哲学よもやま話(「存在」あるいは厳密性という病;「人間本性論」という病 ほか)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年、広島県呉市出身。1996年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。1995~1996年、ドイツ学術交流会、給費留学生としてマンハイム大学に留学。帰国後、駒澤大学文学部非常勤講師(哲学・論理学)などを経て、2004年、金沢大学法学部(現法学類)教授。以来現在にいたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
33
タイトルから予想される一般的なお話ではなく、ハイコンテクストです。1章は一連の「ポストモダンの左旋回」論をコンパクトにまとめてあります。著者の主張というよりも、「現代思想」史としてこれ以上明快な見通しの論を知りません。見通しが無いから、未だに左旋回なのでしょうから。歴史を描くとは、個別の知識と全体性を備えており、その上で提示した史観も多くある史観の一つに過ぎないと認めつつ、それらを凌駕しようとする野心に満ちたアンビバレントな行為といえるでしょう。2章は、『孤独な散歩者の夢想』を読解して、ルソーの人物像に迫2020/03/13
toiwata
1
仲正昌樹先生の著作では(素人が言っても説得的でないが)もっとも読みやすい本。哲学してしまう人間が持つ業(ごう/わざ)が俎上にのせられ、読者としては納得するしかない。ハイデカーは原文のドイツ語を音読すると頭に入って来ると書いたひとがいるというくだり(p.155)で、高校の古文みたいだと思った。2016/12/02