叫びの都市―寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者

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叫びの都市―寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者

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  • サイズ B6判/ページ数 409p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784903127255
  • NDC分類 361.78
  • Cコード C0036

出版社内容情報

 夜の底、うねり流れる群れ ――― 

 流動する労働者(流動的下層労働者)たちは、かつて、職や生存を求め、群れとなった。かれらは、都市空間の深みを潜り抜けたのだ。山谷‐寿町‐笹島‐釜ヶ崎を行き交う、身体の群れ。その流動は、いかなる空間を生み出していったのか。

 私たちはすでに「釜ヶ崎的状況」を生きている。「寄せ場〔よせば〕」の記憶は、今を生き残る術〔すべ〕を手繰りよせるための、切実な手がかりなのだ。地表を横断する群れとなれ、君みずからの「寄せ場」をつくれ ―― 過去からの声は、そう私たちに耳打ちしている。

序 章

● アスファルトを引き剥がす

   釜ヶ崎という場所

   過程としての空間

   本書の問い ―― 線を追跡する

第1章

● 戦後寄せ場の原点 ―― 大阪港と釜ヶ崎

   一九五〇‐六〇年代の港湾労働の地理

   港湾における労働者階級の状態

   国策と資本の矛盾

   封じ込められた例外

第2章 

● 空間の生産

   一九六〇年・釜ヶ崎の社会空間

   場所の構築 ―― 焦点とフレーム

   空間改造

   植民地的空間の犠牲者たち

第3章

● 陸の暴動、海のストライキ

   対抗の地勢

   陸から海への線

   海から陸への線

   失われた地勢

   記憶のリストラクチャリング

   孤島から群島へ ―― 流動的下層労働者の像 

第4章

● 寄せ場の生成 (1) ―― 拠点性をめぐって

   暴動とは何であったのか

   暴動の活用 (1) ―― 全港湾西成分会の議会内闘争

   階級の形成 ―― 流動的下層労働者

   暴動の活用 (2) ―― 釜共闘の直接行動

   拠点としての寄せ場

第5章

● 寄せ場の生成 (2) ―― 流動性をめぐって

   寄せ場の労働者になる ――I氏の流動

   寄せ場とはどこか

   複数の寄せ場

   飛び火する運動 ―― 「山谷‐釜ヶ崎」

   あらたに飛び火する運動 ―― 寿町

   さらに飛び火する運動 ―― 笹島

   寄せ場とはなにか ―― 流動と過剰

終 章

● 地下の都市、地表の都市

   社会の総寄せ場化

   寄り場なき都市空間

   私営化とジェントリフィケーション

   寄り場のゆくえ

 

● あとがき/文献一覧/索 引

原口 剛[ハラグチ タケシ]
原口 剛 Haraguchi Takeshi
1976年、千葉県に生まれ、鹿児島県で育つ。東京大学文学部にて倫理学を学んだのち、2000年より大阪市立大学文学研究科にて地理学を学ぶ。2007年、大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)や大阪市立大学都市研究プラザ研究員などを経て、2012年より神戸大学大学院人文学研究科准教授。
専門は都市社会地理学および都市論。
共編著に、『釜ヶ崎のススメ』(洛北出版 2011)など。
訳書に、ニール・スミス『ジェントリフィケーションと報復都市 新たなる都市のフロンティア』(ミネルヴァ書房 2014)。
共著に、Marxism and Urban Culture(Lexington Books 2014)、『労働再審4 周縁労働力の移動と再編』(大月書店 2011)、『ホームレス・スタディーズ 排除と包摂のリアリティ』(ミネルヴァ書房 2010)、『地域調査ことはじめ あるく・みる・かく』(ナカニシヤ出版 2007)、『都市空間の地理学』(ミネルヴァ書房 2006)…

内容説明

「流動的下層労働者」たちは、かつて、職や生存を求め、都市空間の深みを潜り抜けた。陸と海を、山谷‐寿町‐笹島‐釜ヶ崎を行き交う、群れとなったのだ。その身体の流動は、いかなる空間を生み出していったのか。すでに私たちは「釜ヶ崎的状況」を生きている。「寄せ場」の記憶は、今を生き残る術を手繰りよせるための、切実な手がかりなのだ。地表を横断する群れとなれ、君みずからの「寄せ場」をつくれ―過去からの声は、そう私たちに耳打ちしている。労働者の相貌を現す都市空間誌。

目次

序章 アスファルトを引き剥がす
第1章 戦後寄せ場の原点―大阪港と釜ヶ崎
第2章 空間の生産
第3章 陸の暴動、海のストライキ
第4章 寄せ場の生成(1)拠点性をめぐって
第5章 寄せ場の生成(2)流動性をめぐって
終章 地下の都市、地表の都市

著者等紹介

原口剛[ハラグチタケシ]
1976年、千葉県に生まれ、鹿児島県で育つ。東京大学文学部にて倫理学を学んだのち、2000年より大阪市立大学文学研究科にて地理学を学ぶ。2007年、大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)や大阪市立大学都市研究プラザ研究員などを経て、2012年より神戸大学大学院人文学研究科准教授。専門は都市社会地理学および都市論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

40
若手社会学者の釜ヶ崎「カマ」の研究本。日本最大のドヤ街、寄せ場として知られるこの地の詳細な歴史を都市学的視点で切り取る。感情に流されず、淡々とした文体。白黒イメージ写真などを多用して研究書っぽくないですね。1960年代〜70年代の出来事が中心なので、歴史書みたい。関西人には周知のことも多いのでしょうが、関東人には新鮮かもしれません。2017/09/27

松本直哉

27
大阪に長く住んでいても知らないことばかりだった自らを恥じるが、それほどこの街は隠されている。地図には釜ヶ崎という地名さえない。猪飼野がないように。闘争によって労働条件の改善を勝ちとっていった歴史とは裏腹に、小綺麗に建て替えられた街から労働者は追い出されて、今や「釜ヶ崎の全国化」。原発や国立競技場をはじめとする過酷現場で搾取される人々には、釜ヶ崎のように寄り合って連帯する機会もない。metooのような形で不条理な労働環境を告発する動きがネット上で広がることがあれば状況は変わるのだろうか。2018/05/28

msykst

12
「釜ヶ崎」や「西成」といった地名で名指すにせよ、あるいは「寄せ場」や「ドヤ街」といった概念で示すにせよ、それによって定義される区域や意味、想起されるイメージや表象、またその空間編成等々が生成される過程と力学について。とりわけ語られるのは「空間」と「場所」を巡るポリティクスである。ハーヴェイやルフェーブルによる地理学や空間論的転回を理論的なベースにしつつ、資本運動や行政権力行使と、そこに生きる人々による対抗、この双方のせめぎあいによって空間と場所が生成される動的なプロセスが描かれる。2023/06/21

facies_

4
素晴らしい本だった。徹底して隠蔽されてきた「釜ヶ崎」という場所についての歴史。高度経済成長の中で必要とされ、資本に搾取されながらもたくましく闘いぬいて権利を獲得する日雇い労働者たち。相次ぐ暴動と、それを巧みに権利獲得に結びつけるという戦略。そしてさらに移動下層労働者としての自律性を獲得し、釜ヶ崎-山谷-寿町-笹島を移動する有象無象。戦後日本の資本主義の矛盾が噴出する町の歴史を知ることは、今や非正規労働が当たり前になった我々の社会がどういうものなのかを理解するために書かせない。2023/06/17

金平糖

4
B+。2018/05/05

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