出版社内容情報
怜悧・細緻・異形。
ただ一語のうちにも秘められた
小宇宙を解き放ってみせる
稀代の読み手にして書き手による、必読の評論・エッセイ集成
言葉に対する 時代新規の切り口で、短歌、小説を生み出していく
そのままにエッセイ、書評、批評も行う
ゆえにこの一冊は、
川野芽生をよみとく上でも必須の一冊となる
自在に真摯にことばと踊る、魅惑の400頁
十年分をほぼすべて収録!
[本文より]
私にとって言葉を使うことは言葉への捧げ物なのだと思います。あるいは恩返しかな。言葉を与えられたことに対する。他者への贈り物という点では同じだね。 与えられた言葉を、生まれてから死ぬまで、使って、磨いて、積み重ねて、組み合わせて、切り開いて、ことばへと返していく。 人間はそのために生まれてきたのだと思っているところがあります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
5
素晴らしかった。10年以上にわたり発表されたエッセイや評論、往復書簡など。幾つかの書評や山尾悠子さんとの往復書簡は既読だったが、読み返してまた感嘆した。とりわけ「呪われたもののための福音——『ラピスラズリ』評」での、先ず “生と生殖に対する屈託” を指摘してから、フェミニズムとシスターフッドの物語として読み解く展開は、何度読んでもわくわくと引きこまれる。言葉に対して誠実に凛然と向き合い、自分の言葉を使って思惟を深めていくこと。〈現実〉を疑い、不変の真実などないということを突きつけるための幻想について。など2025/07/03
紫陽花
2
短歌についての評論、小説についての評論。やはりこの人は天才だ…と思う。さすがは文学研究者ともいうべきか。日本の詩にはあまり韻はないと思っていたが、短歌には頭韻があるのか!と新しい発見。短歌をもっと深く知りたいと思った。小説についての評論も、そうか、こういう解釈があるのか、という発見があった。とても興味深い一冊。2025/06/26
warimachi
1
タニス・リー「黄の殺意」とボロミアを偏愛しているならば信頼できる。2025/06/29
石ころ
0
明晰。2025/06/28
真城
0
現実より生まれる幻想はふわふわとした煌びやかなものでなく、「冷酷」とも言われるような怒りや理不尽さから来ているのかもしれない。だからこそ川野芽生には力がある。言葉表現、その美しさ、彼女の精神性は気高く引き込まれた。2025/05/31
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