感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
転天堂
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『日暮硯』で知られる松代藩家老恩田杢の親族に、幕末期に素晴らしい絵を遺した女性画家がいた。彼女の足跡を、その作品とともにたどっていく。緻密な植物画や昆虫画、身近な重臣やその奥方をデフォルメかけて描いた似顔絵、歳時記でありながらどこの景色でもない絵巻など、多彩な画風が見て取れる。本書執筆の時点では独身と思われた彼女が、実は2回も結婚し離縁していたことが、その後の研究で明らかになったように、政治の表舞台にいた人々の歴史は、つい幕末位の時期でもまだまだわからないことが多いと思われる。2025/08/15