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uta0001.txt - 中澤系歌集

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  • サイズ B6判/ページ数 234p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784902465204
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0092

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

安南

45
「3番線 快速電車が通過します 理解できない人は下がって」衝撃。ああそうだ…私も「理解できない人」系だったのかも…。筆名の“系”って?「ある傾向の束としてしか捉えることのできない《拡がり》」ということらしい。世紀末、終わりなき日常の閉塞感。渋谷のスクランブル交差点の電光掲示板や大型ビジョン、すれ違う人の携帯、そこかしこに中澤系の歌が点滅している。そんなことをイメージした。編集後記によれば、中澤は副腎白質ジストロフィーを発病、2009年38歳で亡くなっている。2015/08/07

小夜

26
体の中に言葉の感覚が落ちてくる。中澤さんの社会のシステム、世の現実を見据えたような歌の数々、定型を大いに無視した縦横無尽の叫び、選び出された言葉の圧力。今年の読書感想文にしようと軽く念頭に置いて読んでいたけれど、今のわたしには少し難しすぎました。わたしはこの詩集の中に中澤さんの心境の行き場のなさを感じたけれど、ほかの人がこれをどう読むのかが気になります。そしてこの本に関してはこれ以上、あれこれとわたしの見当違いな推測をレビューに書いてはいけない気がするので、下に特にお気に入りの歌を並べてみました。2019/07/28

ちぇけら

23
吐く息は陽炎となり君を待つ画面に映る"Hello, Python."。完全な夕闇、刹那があまりに切なくて犬とともに遠くに吠える。WAON:ICカード型前払い式電子マネー。世界では今日もWi-Fiは最短距離でスマートフォンにつながる。人とのつながりは薄くひろがり君はいつもガリガリで、それはまるで戦争であった。拒絶の薄膜をまとった現代の戦士は愛情を希求し自傷するハリネズミのジレンマに冒される。闘う意志がないのなら、わかったふりをして黙って。「終わらない だからだれかが口笛を嫌でも吹かなきゃならないんだよ」2019/08/18

水色系

13
硬質で、なんとなく無機質な感じがするのは、作者のほんらいの性質なのか、哲学科出身だからか、詠まれた歌の多くが世紀末のものだからなのか。P38「桜井君傘の下には告ぐるべき者などをらぬ東へ行かう」P119「こんなにも人が好きだよ くらがりに針のようなる光は射して」このあたり、もしかしてミスチルかな。2022/03/13

太田青磁

9
3番線快速電車通過します理解できない人は下がって・メリーゴーランドを止めるスイッチはどこですかそれともありませんか・射抜くならたがわず青き鉄塔を射抜けよ左打席の男・装飾音符美しすぎて旋律を覆い尽くさんばかりの響き・生きるなら生きよ個別に閉じかけのドア一人だけ抜け出せる幅・終わらない日常という先端を丸めた鉄条網の真中で・ぼくたちが無償であるというのならタグのうしろを見てくれないか・耳鳴りが日常となるようにこの不定愁訴に慣れ始めている・我はこの無数の中の何ならむ不意にヴィオラの一絃は切れ2015/05/27

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