感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
28
おミッちゃんこと佐々木美智子のあまりにもパワフルな記録。子供時代から80歳になる現在でも常に自分に対して正直に生きてこられたことを感じた。自分に対して正直ということが結果的に、様々な世界の人たちとの交流を深めてきたのではないか。権力や圧力といった彼女が嫌うものに対しては厳しい目を持つ反面、新宿という地で繋がった人に対しての優しい眼差しも汲み取ることができた。イエスかノーかオンかオフかという選択肢の少なくなった世の中において彼女のような目線で物事を見極めることの大切さを知った。2014/12/01
どんぐり
16
僕がゴールデン街で飲んでいたのは1980年代。<Barむささび>はすでになかった。波乱万丈とは、佐々木美智子さんのためにある言葉だ、というのがこの本を読んでの感想。昭和31年に北海道から22歳で上京し、新宿でおでんの屋台を引く暮し、その後日活編集部での仕事、カメラを担いでの日大闘争、ゴールデン街での<Barむささび>の経営、新宿歌舞伎町の<ゴールデンゲート>開店、次にブラジルへ移住しレストラン・バーと図書館の開設、そして帰国。現在大島在住。飲み屋に集まる映画人や文壇の人、全共闘世代との交流もあって、昭和2013/03/28
ステビア
8
これはいい本。人生って不思議なものですネ。2014/01/15
職商人
8
日曜日、一気読みしました。何ともすごい御方です。激動の時代を自分の感性と信念に忠実に生きた伝説の御方の「聞き書き伝記」。新宿ゴールデン街でバーを経営し、多くの映画人、文筆家、写真家等の著名人と交流を持ちながら、突然、ブラジルに渡って、そこでもレストランを経営し、沢木耕太郎さんの協力も得て図書館を設立するなど・・・・。写真家としての活躍も加え、男とか女とか、そういう範疇で考えずにまっすぐに生きられた方だな・・・と思った。感服至極。この時代の人は押しなべて早熟、若いころに自分を確立して、その後は「進化・深化・2012/12/10
鵐窟庵
7
ゴールデン街の伝説の女将の人生を綴る。彼女の壮絶な思春期の経験、国家によって不幸に長兄を失うことになり、戦後彼女は「個」として強く生きる道を選ぶ。20で新宿二丁目で屋台を出し、ゴールデン街に店を構え、やがてブラジルに店と私設図書館を設ける。自由奔放だが彼女の人生や為人には光と闇の陰翳がはっきりと現れており、逃れられない過去の悲痛さと自由や解放への希求の振幅が、より多くの人々の感動と関心を惹きつけるのだろう。なんとまだお元気に新宿ゴールデン街にお店を開いているので、近々訪問してついでにサインもいただきたい。2020/09/16