内容説明
一九七〇年代初頭の英国、オックスフォード。十四歳のクレアは、古い家具や調度品、書籍であふれた大きな家に、大おばたちと暮らしている。高齢のふたりにかわって、家事や家計の切り盛りをするのはクレアの役目だ。ある日、クレアは物置のトランクのなかに、彩色された木の板を見つける。それはかつて、人類学者だった曽祖父がニューギニアから持ちかえったものだった。やがて、クレアは奇妙な夢―はるか彼方で暮らす、見知らぬ人々の夢―を見るようになり、クレアの心は大きく揺らぎはじめる…。イギリスで五十年間読みつがれてきた名作、初めての日本語訳。
著者等紹介
ライヴリー,ペネロピ[ライヴリー,ペネロピ] [Lively,Penelope]
1933年、エジプト・カイロ生まれ。十二歳でイギリスに渡り、オックスフォード大学セント・アンズ・カレッジで歴史学を学ぶ。多くの児童書を執筆し、73年『トーマス・ケンプの幽霊』(評論社)でカーネギー賞、76年「A Stitch in Time」でウィットブレッド賞児童書部門を受賞。また、大人向けの小説やノンフィクションでも活躍し、87年『ムーンタイガー』(朝日出版社)でブッカー賞を受賞した
斎藤倫子[サイトウミチコ]
1954年生まれ。国際基督教大学語学科卒。おもな訳書に、『シカゴよりこわい町』(東京創元社/産経児童出版文化賞入賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
19
1970年代初頭の英国、オックスフォード。14歳のクレアは、古い家具や調度品、書籍であふれた大きな家に大おばたちと暮らしている。高齢のふたりにかわって家事や家計の切り盛りをするのはクレアの役目だ。ある日、クレアは物置のトランクのなかに、彩色された木の板を見つける。それはかつて、人類学者だった曽祖父がニューギニアから持ちかえったものだった。やがて、クレアは奇妙な夢を見るようになり、クレアの心は大きく揺らぎはじめる……祖父の体験が入り込んでくるなどちょっとファンタジーが入っている。2025/10/28
ぱせり
5
古い家に新しいものが侵入してくる。家には「あらゆる場所に、現在と過去が同時に存在している」混ざり合う感じが心地よい。それは老人と若者も同じだ。二人の高齢のおばは、クレアに言わせれば「枠にはめられていない」人たちで、時代とともに変容していくものを受け入れることができる人たち。2025/12/26
菱沼
4
イギリスは古くならないような気がする。ほぼ同時代のミステリーでも、クリスティやセイヤーズはさらりと読めるのに、エラリィ・クイーンは「昔の話」になっている(面白いけど)。どんどん新しいものを取り入れる世界は、どんどん古くなるのかもしれない。この物語も、半世紀前に書かれていても古くない。丁寧だけれど説明しすぎない品の良さ。十四歳でいるのが下手だ、と自分を表する主人公クレアの人柄と、彼女を取り巻く周囲の「善人」たちとの関わりが愛おしい。守られるべき文化と、なくした方がいい風習。先進国の奢りも考えさせられた。2026/01/04
HISA
4
☆☆☆☆1973年「トーマス・ケンプの幽霊」(読んだけど忘れました)でカーディアン賞を取った著者が1974年に書いた本の初の日本語訳。 冬の冷たく静かなイギリスの風景と古くて美しい建物が目に浮かぶような美しい描写だった。しっかりしているけど14歳という不安定な年齢がよく描かれていると思った。とてもよかった。2025/11/26




