内容説明
おねえちゃんは目をまっ赤にして、玄関に立っていた。くつを見ると、どろでよごれていた。「泣いたの?どうしたの」と、あたしはきいた。“いま”を生きる“こども”と“おとな”。そして、すべての“家族”におくる物語。表題作「ジャングルジム」をふくむ五編を収録。
著者等紹介
岩瀬成子[イワセジョウコ]
1950年、山口県生まれ。77年、デビュー作『朝はだんだん見えてくる』(理論社)で日本児童文学者協会新人賞受賞。また、その後の作品にて、路傍の石文学賞、野間児童文芸賞、産経児童出版文化賞大賞、坪田譲治文学賞などを受賞
網中いづる[アミナカイズル]
1968年、宮城県生まれ。イラストレーター。99年、ペーター賞、2003年、東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)公募プロ部門大賞、07年、講談社出版文化賞さしえ賞などを受賞。大分県立芸術文化短期大学美術科デザイン専攻非常勤講師。TIS会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゃが
53
少年少女たちの揺らめく気もちをこまやかに描いた岩瀬さんらしい短編集。離婚後母や妹への恋しさを隠し、父を気遣い暮らす小1の一平「リュック」、まみは病で父を亡くし、母を責め実感がわかず泣けなかったが、形見から…「色えんぴつ」、定職に就かない叔父さんと良太はしぶしぶ海に行き、叔父さんの思いを知り…「黄色いひらひら」が好みだが、一週間お試し宿泊に来た祖父と春木の交流「からあげ」も良かった。女性と子供の関係を扱う物語は多いが、父、祖父や叔父といった男性の心の内と子供たちのの触れ合い描いていて大人にもよかった。 2023/03/05
けんとまん1007
48
家族とは、いったい何だろう・・と、考える。家族の数だけ、その姿がある。それを、子どもたちの眼を通して、見つめ直す。自分の気持ちを、自分でもわからないままで、表現できないもどかしさ。家族を思う心遣い。どれも、厳しい部分がありながらも、最後は希望が持てるものがたり集。2023/08/05
mntmt
11
短編集。子供にも大人にも読まれてほしい。2023/04/30
奏
7
様々な家族がいて、家族の一員である子どもたちの目を通してその家族の形が見えてくる。「リュック」の主人公は春から一年生の男の子。両親が離婚して、妹は母親、自分は父親と暮らすことになり、いつも背負っているワニのリュックからいろんな人の声が聞こえるというもの。寂しさを我慢しながら、父親を思いやる健気さに胸がいたくなった。5つのお話どれも良かった。教科書の教材になりそう。2023/07/20
だけど松本
6
印象に残ってるのは2つ。まず表題作のジャングルジム。子供ってたぶんこういう心理ある、少なくとも自分はあったと思う、と思った。もうひとつは、タイトル忘れちゃったけど、お父さんが病死して母子家庭になってしまうやつ。子供の不安定さが不憫でならない。お兄ちゃんが妹を諫めるけれども、そのお兄ちゃんだって数年先に生まれてきただけの子どもなんだよな。そして大人の自分が読むと母親の悲しさ苦しさ後悔も考えてしまう。でも母親という生き物としては強く大きく広くあって、子供を受け止めなきゃいけないんだな。それもまた辛く悲しい。2024/04/15
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- 和書
- 再会の街角 ぶんりき文庫