出版社内容情報
野球部の地区予選敗退。
詩人・村田周平の三回忌法要の知らせ。
ベトナムに単身赴任中のお父さんからのメール。
幼なじみの思いがけない告白……。
いつものように生きているこの時にも、
自分の知らない世界は確実に動いているという事実に胸がざわつき、
僕の中学最後の夏休みがはじまった──。
自分がいつも過ごしている日常から少しだけ外に出てみたら、
これまでどこにいたんだろうって人たちと“遭遇”して、
僕の世界はグイッとひろがっていく。(15歳から)
ロングセラー『あたらしい図鑑』に続く、著者渾身の新作。
●著者紹介
長薗安浩(ながぞのやすひろ)
1960年、長崎県生まれ。南山大学卒業後、リクルート入社。「就職ジャーナル」「ダ・ヴィンチ」編集長などを務める。94年、「就職氷河期」のネーミングで流行語大賞特別造語賞を受賞。99年、「ウェルウィッチアの島」(「文學界」)でデビュー。2002年より執筆に専念。著書に『祝福』『セシルのビジネス』(以上、小学館)『きょうも命日』(中央公論新社)『シュヴァイツァーの仕事』(集英社)『言葉なんかおぼえるんじゃなかった 詩人からの伝言』(語り・田村隆一筑摩書房)『最後の七月』(理論社)『夜はライオン』(偕成社)『あたらしい図鑑』(ゴブリン書房)などがある。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
35
「あたらしい図鑑」の続編ということで読んだが、作品としてはいまいち、というのが率直な感想。中学三年生の主人公が、生まれる前で無関係なはずのベトナム戦争に興味を持ち、同時にLGBTやマイノリティについても考える、というテーマは素晴らしいし、考え方が着実に変わってゆく様も説得力がある。前作でのドラマチックな体験より、衝撃的な写真を見たり、偶然ショックな出来事に立ち会うことが、時に強烈な変容に繋がるのもわかる。しかし、作品としては前作のあらすじが盛り込まれ過ぎで冗長、展開も貧弱に感じた。良い話なだけに残念。2020/12/19
oooともろー
4
全国大会を目指していた野球少年純。ところがアッサリ負けてしまい中3の夏休みを迎える。ぽっかりと空いてしまった時間の中で、ベトナム戦争について知ることになり、更にLGBTなどのマイノリティたちと出会う。成長物語ではあるが、テーマはかなり重い。 これ、前作があるようなので読んでみたい。2019/12/10
くま美
3
YA本。読んでいたら、「あたらしい図鑑」の続編と知り、興味深く読みました。気になる言葉を探して辞書で調べ図鑑にしていくことを村田さんから教えてもらう。その村田さんが亡くなった2年後の話。今の時代、中学生にもLGBTの話はしておきた。いるのにいないことにされた経験が存在していることを否定してしまうのか。なるほど。ネッシーはいることにした方が気持ちが楽なんだ。中学生へは感じ取ってくれるといいな。2019/12/18
つじつじ
3
中学生にビールを飲ませてはいけません!ジュンくんとトモくんの友情は、熱かった! あれ、これの前の物語があるのね!読んでみよっと。2019/11/21
飴
2
あたらしい図鑑で、詩人の村田さんが亡くなり、その三回忌の日へ向かって、沢山沢山肉付けされた青春物語。中学3年生になった2人の友情、進路、アイデンティティーの考察、開高健、ベトナム…。男子って単純だよなーって割り切れない。男子の繊細な部分がよく描かれていた。読んでよかった1冊。色んな子供たちに読ませたい。どうやって手に取ってもらおうか…。2020/05/19