内容説明
本書は、1900年代最初の四半世紀を中心とした中部経済圏研究にかかわる、「中部産業史研究会」の中間報告集である。日本では、明治初期以来官営工場のかたちで欧米から近代技術が導入され、その多くが経営的に失敗した後、主として当時の政商へ払い下げられて、近代初期の大企業が成立した。そうした技術がさらに民間へ伝播して、中小規模の近代産業が成立し始めたのが、明治末期から昭和はじめへかけての時期であった。その中心となったのが、ほぼ1900年代最初の四半世紀で、日本における「民営近代産業勃興期」というべき時期であった。
目次
20世紀の幕開けと近代産業の勃興
中部の産業黎明期
伊藤次郎左衛門祐民の社会活動と大都市名古屋づくり
下出民義と電力事業
名古屋における洋式ホテルの創設と展開過程―明治勃興期から昭和戦前発展期までを中心として
日本近代化における地域ビジネスの役割
大正期における愛知の実業教育の発展
近代産業勃興期における製造業拠点地域の形成―名古屋を中心に