感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そのじつ
5
ひたすらに空と海を二分する水平線が、画面ほぼ中央にセットされた状態の写真が続く。船医として水産庁調査船に乗り組み、ベーリング海、南太平洋を航行した著者自身がこれらの写真を撮影した。「なんにもない」写真だ。ただ膨大な量の水とそれを見下ろす空と雲があるばかり。ときおり雲の切れ目から光のカーテンが下ろされたり、おそろしいくらいに赤い夕焼けが、雲も海面も朱に染める…それは美しいけれど…自然現象を見つめて恍惚とするようなたぐいの写真ではない。わたしは、膨大な水の上に浮かんだ船の孤独な境遇をひしひしと感じる。2013/07/04
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