内容説明
現在という地平線に交錯する、神、人、小さな生き物たちの時空。“此岸と彼岸”、“私と彼方”の“景色”を打ち立てた、新しい文学。
著者等紹介
日和聡子[ヒワサトコ]
1974年、島根県生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。詩人。詩集に『びるま』(私家版、2001年、第七回中原中也賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そうたそ
34
★☆☆☆☆ 「螺法四千年紀」という古文書をめぐって、様々な生物たちが繰り広げていくストーリーたち。ひとつひとつは短く、かといってそれぞれに繫がりがあるというわけでもない。ものすごく捉えどころのない話で、よく分からないまま読み終わったという印象。全体的に詩的なイメージが強く、物語というよりも長い詩を読んでいるような気にもなった。様々な生き物が、人間のように動き回る作品の世界観は魅力的であるが、この独特の世界観に入り込めるかどうか、個性的なストーリーを受け入れられるかどうかが分かれ目なんだろうな。2015/09/02
はちてん
31
主人公印南が古い和綴じ本を読み始めたことで、世界はでんぐり返って展開しはじめる。神、爬虫類、昆虫などなど目線はめまぐるしく移る。印南さえ人なのか死人なのか爬虫類なのか…。確実なのはこの刹那だと表現したかったのか。会話が唐突な方言だったり、いやに人間臭い愚痴だったりするのは面白いが、キレはない。藤枝静男「田神有楽」を思い出す。表紙の逆さ屏風にひかれて手に取った。著者の詩人らしい発想は面白いが物語として筋は追えない。追う必然はない。2014/08/19
まさ
23
物語の冒頭から海辺で静かに佇む様が見えてくる。いつしか主人公・印南は人ではなく海辺にいる小動物やそこにあるものの姿に変転し、読んでいる自分もそれらに同化して時の流れを漂っているかのよう。タイトルにある「螺」の字も話の途中で出てきた螺旋階段と同じ「螺」と気づいた。ぐるぐると同じようなところを変化しながら巡り交わるようなその感覚だ。再び海辺に佇み辺りを見渡すと、生きているもの、天命を全うしたもの、朽ちているものなど様々。いまがあることが稀有であることを感じさせられる1冊でした。2025/03/02
miroku
22
相変わらず意味不明だが、妙に面白いから困ってしまう。2015/11/30
Aya
20
法螺貝モチーフの摩訶不思議な海の物語⁇古書を開いた瞬間から何とも不思議な世界に入ってく。蜥蜴に蛇にあめふらし…弁財天!蛸にうさぎにがまがえる…変形しながら進む世界に翻弄され、最後は船に乗って無事に帰還。古文調風な文章とのギャップも好き。2015/10/20