内容説明
においを失うとは、日本人としての根っこを失うことであり、生きていく足場が崩れていくことである。無臭は文化に非ず。暮らしの中の“におい”を取り戻そう。
目次
序章 においは生の原点
1章 おいしい日本のにおい
2章 季節を告げる食のにおい
3章 体によくて芳しい
4章 くらしの中のにおいの文化
5章 においと人の未来
終章 においをなくした日本人へ
著者等紹介
小泉武夫[コイズミタケオ]
昭和18年、福島県の酒造家に生まれる。農学博士。醸造学、発酵学、食文化論を専攻。東京農業大学応用生物科学部教授。小学生の頃から“食の冒険家”を自称。大学時代より発酵食品に興味を持ち、昭和50年頃から学術調査を兼ね、世界を食べ歩く
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ophiuchi
10
様々な香り・臭いのことを読んでいると色々な記憶が蘇ってくる。無臭社会への警告が繰り返されていて共感した。嗅覚を失う病気を「アイスノミア」というらしいけど、とても辛そうだななんてことを思いました。2016/06/20
おおにし
4
小泉先生お得意のくさいもの談義。だがこの本の重要な点は、においの効能について書かれた部分だ。においは情緒や気分といった人の精神活動に大きな影響を及ぼす。アロマテラピーなどはこれを治療法に応用したものだが、逆に無臭化がトレンドとなり生活のにおい自体は消えつつある。先生はこの無臭化社会に対して警鐘を鳴らしている。本の最後で先生は「人間くさいヤツ」になろうとおっしゃっているが、私もその通りだと思う。私の加齢臭バンザイ!(ちょっと違うか・・・)2012/04/30
のりべぇ
3
東京農業大学応用生物科学部の小泉武夫教授が、ユーモアたっぷりにニオイと食物の世界を案内する。酒造家に生れ、醸造学、発酵学が専攻で食の冒険家というだけあり面白い。もやしもんを思い出す。 唎酒で使われる「小がい臭」ってどんな臭いだろう…2018/09/25
カツ丼
2
学術的な話は読み飛ばしたが経験談は面白い!特にアユの香りの正体を調べるため、清流の滝つぼでアユの餌となる苔を採取し、?昨夜の焼魚にのせてみたり?そのまま食べたり?日本酒に浮かべさせたり…??は旨いらしい!お試しあれ!感想をお知らせ下さい。2014/05/20
あんPAPA
1
何度か著書を目にしており、目新しさは特に無かったものの発酵食品への愛にあふれる味の描写は大変素晴らしくそそられるものがる。2020/11/27