内容説明
北海道の北の片隅にある小さな町、遠別で少年が見た、触れた、思った、感じたこと。恐ろしく厳しくて、豊かで暖かい自然のなかに、生きものたちが、もちろん人間も、肩を寄せあって生きている。そのせつなさ、苦み、素晴らしさ。祖母とともに黄金色の麦畑で見た飛行機。母から聞いた父の秘密。ときに起こる理不尽な大人の暴力。友だちと連れ立って泳いだ階段湖の記憶…。大人になってしまった人にこそ贈りたい、珠玉の少年文学がここに誕生した。
著者等紹介
坂川栄治[サカガワエイジ]
1952年北海道天塩郡遠別町生まれ。ブックデザイナー・作家・写真家。現在までに手がけた装幀本は2600冊を超える。93年、講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞。デザイナーとして活躍する一方、95年から5年間神宮前にバーソウ・フォト・ギャラリーを開設した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
118
読メのレビューを読んで気になり、手にとりました。タイトルの'遠別'は北海道の最北端「稚内」より少し?南に下がったところにある町で、今年の夏に立ち寄りました。北海道の冬の寒さの厳しさがしっかりと描写され、住んだコトのない方にはまるで異世界のように感じるのでしょうね。もっとたくさん北海道テイストな感じで綴られてるかと思っていたら、全体的には一部に限られていて、ちょっと残念でした。それでも北海道らしさを十分に感じさせてくれるステキな作品を読めたコトは本当に良かったなと感じます。読メでの出会いに感謝しなければ。2018/11/21
ヒロくま
14
私の父親ぐらいの世代の作者が、少年の頃に感じた色々な思い出を綴った短編少年小説。少し昔の北海道の自然を感じました、私も子供の頃、通学の時の寒さで鼻の穴がくっついたりしてた、懐かしい~。2014/08/31
咲
0
雨が降る日に、小屋で見つけた。表紙に惹かれた。遠別。雪の怖さ、冬の冷たさ、生き物の近さ、血の赤さ、家族のうるささ。自分の感覚と重なるものにも、はるかに超越してしまうものにも、読んだものが体に響く感触。北国は体に直接刻んでくる。ふと思う。もしも、わたしが、大学進学の際に北海道を選択しなかったら。もしも、わたしが、この北国に生を受けて幼少を過ごしていたら。北海道で生きるということに、惹かれてやまない。麦畑と黒い飛行機。一列になって歩く雪の道。青い空と張り詰めた冷たさ。天と地の区別がつかない夜。2022/09/19
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