内容説明
人口の60%以上が肥満の国アメリカ。こんなアメリカに誰がしたのか?あらゆる側面―階層、政治、文化、そして経済に踏み込み、アメリカが世界的な肥満国となったワケを解明。代謝異常の原因である安価なパーム油と果糖の問題。カロリー摂取量と運動量の関係やダイエット法の嘘。多くの家庭にはびこる誤った知識や子どもの糖尿病の増加。さらには肥満と余暇、流行、宗教との関係も独自の視点で分析。「流行性肥満症」が人間、とくに幼い子どもの命を犠牲にしている恐ろしい現実を描き出していく―。
目次
1 コストダウン!カロリーアップ!―脂肪はどこから来たのか
2 ポテトはいかがですか!―脂肪をとり込ませるのは誰か
3 ゆるめられたベルト―脂肪を招くのは何か
4 健康優良肥満児!?―脂肪はなぜ蓄積されるのか
5 太る機械=子供の製造―脂肪とは何か、何でないのか
6 死に至る脂肪―脂肪の余剰は何をするのか
7 脂肪地獄からの脱出―脂肪に対して何ができるのか
著者等紹介
クライツァー,グレッグ[クライツァー,グレッグ][Critser,Greg]
ジャーナリスト。『USAトゥデイ』『ロサンゼルス・タイムズ』『ハーパーズ・マガジン』などに寄稿。カリフォルニア大学ロサンゼルス校オクシデンタル・カレッジおよびUCLA卒業。カリフォルニア州パサデナ在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
23
アメリカの肥満問題を取り上げたノンフィクション。著者はがっちりした体格のジャーナリスト。2003年刊。世界一の経済大国にして国民の体積もNo.1のアメリカ。この国がデブの帝国になったのは思ったより最近で、せいぜい40年程度の歴史しかないことに少し驚いた。米国の肥満の原因というと巨大サイズのファストフードがまずイメージされるが、実際は政府の政策や消費者の思考様式など様々な要素が混ざり合っていることがわかる。都市の貧困層ほど肥満率が高く、医療を受ける機会も限られているという指摘は、既知だがやはり重い。2018/08/22
魚京童!
15
肥満がまずいという考えがまずいのかもしれない。肥満なんてブルーオーシャンだ。じゃんじゃん薬を使えるし、ダイエットという名目で食事から運動、あらゆる資本を投入できる。なんてすばらしい世界。無限に拡大しなければならない資本主義の福音だ!それで儲かるならどうでもいいよね、他人が太ってるとか。お金になるし。素晴らしい新世界だ。とことんやってもらいたい。2018/09/16
Kouro-hou
10
胸やけしそうな可愛い表紙とアメリカンな語り口の中身は、ハードなデブスパイラル社会の解説なのであった。平たく言うと、食糧危機が起こる→食糧生産に補助金を出す→食糧余る→安いジャンクフードが大量に登場→健康食は値段競争に負けて駆逐される→みんなデブ。おおう。小学校の給食ぐらいジャンクじゃなくて健康に、というと業界団体が登場して「子供が好きなモノを食べる自由を奪うな」だそうで。自由って何なんでしょうという気分になれます。 10年ほど前の本なので当時はわりと対岸の火事でしたが、今はTPPがあるので恐ろしかったり。2013/11/08
にゃおん
9
政治的な思惑(選挙で勝つため、農業票が必要)とか、企業の思惑とかは思っていたような内容だったけれど、驚いたのは、アメリカで暮すようになったマヤ族が、どんどん肥満化していく理由。貧しい生活が続いていた民族では、脂肪の燃焼を抑えて逆に脂肪を蓄える方向に遺伝子が働くようになっているんだって。そうか、そういう要因もあるのか。2013/01/07
isao_key
6
肥満大国アメリカの実態を詳しく研究調査し警鐘を鳴らす。類似本にエリック・シュローサー『ファースト・フードが世界を食いつくす』があるが、本書は肥満とその関連に焦点を絞っている。はじめにで19歳未満のすべてのアメリカ人の25%が、やや肥満か肥満である。この数字は30年前の2倍だとある。また一日たった一本ソフトドリンクを多く飲むだけで、そのカロリーにより、肥満になる確率は60%増えるなど、肥満に関する数多くのデータと実例、死に至るまでの病例などが挙げられている。改めてジャンクフードや炭酸飲料の怖さを思い知った。2014/09/15