出版社内容情報
最近の防衛論議は、戦争の放棄を謳った憲法第九条がまるでないかのように行われている。しかし、防衛力の増強や戦争体制の強化が本当に日本を守ることになるのであろうか。国土狭小、人口稠密で、ガソリン・核燃料で充満している日本が、戦争に耐えられるとは到底思えないからである。この点を踏まえ、本書では戦争放棄条項の制定過程(特にその発案者)を明らかにするとともに、自衛隊を違憲と判定した唯一の裁判例である札幌地裁判決(1973[昭和48]年9月)の再評価をとおして、第九条の現代的意義と今後の日本の平和主義のあり方を考察する。
目次
第1章 憲法第九条=幣原発案説の再考―笠原十九司説に対する批判的検討
第2章 憲法第九条の解釈に関する考察―長沼ミサイル基地事件訴訟・札幌地裁判決を中心に(第九条第一項の解釈;第九条第二項の解釈;自衛権と軍事力によらない自衛行動;第九条の解釈学説について;第九条第一項について ほか)
著者等紹介
中村克明[ナカムラカツアキ]
1956年長野県生まれ。現在、関東学院大学社会学部教授。同大学大学院文学研究科教授。専攻:平和学、憲法論、図書館情報学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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