内容説明
本書はゲーテを表題とする10編を集大成し、カッシーラーがゲーテといかに関わり、彼のゲーテ論のモチベーションの本質とは何かを明らかにする。
目次
ゲーテの『パンドーラ』
ゲーテと数理物理学―認識論的考察
ゲーテとプラトン
カントとゲーテ
自然研究者ゲーテ
ゲーテの形成(教養)ならびに教育の理念
ゲーテと一八世紀
ゲーテと歴史的世界
トーマス・マンのゲーテ像―『ワイマルのロッテ』についての試論
ゲーテとカント哲学
著者等紹介
森淑仁[モリヨシヒト]
1940年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒、同大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、1971年4月東北大学教養部講師、その後、同大学教養部、大学院国際文化研究科、大学院文学研究科の教授を歴任、2004年3月文学研究科(西洋文化学講座)を定年退職、同年4月同大学名誉教授。専攻:ドイツ文学、文化哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
ゲーテに関する10の論文から成る本書は、彼の業績をカントやルソー等の18世紀の思惟形式の中で検討する。著者は『パンドーラ』の女性にギリシャ神話とは違う美や形式の具現を託すゲーテの形態学のモチーフを見、箱の開封に災いでなく世界の生成を見る。神の分類としての知を生の過程に転換する彼の形態学は歴史を生の過程とし、自然を観察し数理的に理解する17世紀経験科学を引き継ぐとする。また、変態する形態の「原植物」設定を、シラーのカント派的な助言によって実在から理念へと修正する彼に、カントと共通する形而上学批判を見出す。2019/05/05