内容説明
晩年の大作『本居宣長』で、小林秀雄が取った批評の方法は“同化”であった。いわば批評の放棄ともいえるこの方法で、賀茂真淵を凌駕し、文字以前の日本語のあり方にまで遡った生活人・本居宣長を描いた小林秀雄の、最後の思想を探る長編評論。
目次
第1章 本居宣‐平田篤胤の“切断”
第2章 不楽之楽
第3章 下剋上
第4章 『源氏物語』論の反=天皇制
第5章 和文の生成
第6章 近代科学批判の矛盾
第7章 言葉の喜び
第8章 上田秋成と本居宣長の論争
第9章 賀茂真淵と本居宣長
第10章 “純粋”な日本語
著者等紹介
佐藤公一[サトウコウイチ]
昭和29年秋田県生。昭和52年早稲田大学教育学部卒業。昭和57年北海道大学大学院修士課程修了。平成7年秋田大学教育学部非常勤講師。現在、文芸批評家として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
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図書館で借りた本。2012/12/14
lalaright
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昭和初期、国学の再興と日本主義(文学)を勃興した「浪漫派」、その中心人物の一人である小林秀雄の「本居宣長」論をわかりやすく解説している。戦中は戦争賛美に利用され、戦後は右翼扱いされた国学の思想だが、小林の言葉を借りた本居宣長像を読んでいると、愛国心や思想とは無関係の一人の人物像が浮かび上がってくる。「宣長の学問はその中心部に難点を蔵していた」と言われるほどの、徹底的な純粋さ、こちら側からではなくてあちら側から古典や古人を見つめ、学び続けた宣長の姿に圧倒される。誰か彼を批判できるものがいるのだろうか。疑問。2011/02/05
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