内容説明
ルネサンス期、アルドゥスがイタリック体で造った小型本から、総革装に幾何学模様・金箔押しのグロリエの装丁本、さらにロココ時代の艶笑本挿絵、ベル・エポック期に沈没したタイタニック号に積まれた宝石本など、西洋の挿絵・製本・蔵書票のエピソードを綴る。惜しまれつつ亡くなった著者最後のエッセイ。図版170点収載。
目次
西洋挿絵見聞録(ルネサンス編;ロココ編;ロマン派編;擬古典編;ベル・エポック編;西洋と日本編;番外編)
蔵書票の誘惑
著者等紹介
気谷誠[キタニマコト]
美術史家。BIBLIOTHECA GRAPHICA主宰。玩具荘文庫主人。2008年9月22日永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Meroe
3
銅版画、木口木版、石版画、豪華な挿絵の加わった本は愛書家自身により製本されてその人をしめすしるしをつけられ、手放されたあともオークションや古本屋を通じてまた別の愛書家の手にわたる。19世紀を中心としたそんな本の数々、挿絵、装丁、蔵書票、そしてそれらへの筆者=愛書家の愛着。多くひとの目にふれるわけではなく特定のだれかに愛され、また羨望され、手に入らなかったことを嘆かれるようなぜいたくな本たちがまぶしい。2012/05/14
リエゾ
2
西洋における挿絵本の定義、製本・装丁、愛書家のこだわりは、普通の"本好き"の想像をはるかに超える。1冊の製本にかける費用、完成した本の優美さに一瞬言葉を失う。計算された配置、図柄、文字、豪華な装丁。宝石のような本の紹介にため息しか出ない。まったくもって目に毒である。知らなければ心穏やかでいられたものを、知ってしまった以上、実物を手にとってみたいと思うのは止められそうにもない。2010/01/03
ろくしたん
1
日曜日にぴったり。ぶあつい。2019/12/22