内容説明
謎めいて、可愛くて、悩ましい女たちが、19世紀イギリスの芸術作品を多く賑わせた。のちに“宿命の女”と名づけられた彼女たちと表現者との関わりをとおして、近代文学・絵画を読み解く。
目次
第1章 愛に殉じた“宿命の女”(“宿命の女”のプロトタイプ―キーツ「冷たい美女」;愛の無惨と狂気―キーツ「イザベラ めぼうきの鉢」;妖精のあらしの結末―キーツ「聖アグネスの夕べ」)
第2章 妖魔の国の女たち(異類婚の悲劇 蛇女の系譜1―キーツ「レイミア」;呪われた男女両性愛 蛇女の系譜2―コールリッジ「クリスタベル」;魔性の女―サーシー『エンディミオン』第3巻)
第3章 霊・肉のヴィーナス(愛のダイモンの謎―シェリー『エピサイキディオン』;エロスとサイキの図像―キーツ「サイキのうた」 ほか)
第4章 ラファエル前派の“絶世の美女”(神秘的な愛の交流―ロセッティ「天国の乙女」;愛と追憶の歴史―ロセッティ『生命の家』 ほか)
第5章 呪縛の愛から退廃のエロスへ(呪われた純愛―テニソン「シャロット姫」;詩人のマゾヒズム―スウィンバーン「ドローレス」、「ヴィーナス賛歌」 ほか)
著者等紹介
松浦暢[マツウラトオル]
1931年、高知市出身。神戸大学文学部卒。1977‐78年、オクスフォード大学客員研究員兼同大学院特別研究生。85年、学術博士(Ph.D.)取得。成城大学名誉教授(イギリス近代詩、比較文学)
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