出版社内容情報
日本の天皇制は外国の王制とは全く異質独特のものだ。そんな基本的なことさえ最近の日本では意識されなくなった。だが、日本には天皇制があるからこそ、独特の文化があることを知るべきだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
衛府蘭宮
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ヨーロッパや中韓の君主制、そして革命後の独裁についての考察や片務的な神孫為君論の解釈は瞠目すべき所である。戦後の群小「保守」連とは異なり、葦津珍彦は知性と教養を兼ね備えた右翼であることが分かる著作であると言って差し支えあるまい。2018/12/15
zenigatasho
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"国民主権という場合の国民は、集団としての国民のことをいう。主権者たる国民は目に見えない統一的存在であり、目に見える個々の国民は統治される国民である。天皇が国民統合の象徴であるというのはこの目に見えない国民の姿を現わすのは天皇御一人に限られるという意味である。"この象徴論理と、天皇の意思が一般意志であるとするのがなるほどと思わされた。また中江兆民が皇室を崇めていたのに驚いた。全体としては、よくある皇室論。もっと理屈っぽいのを期待していたが、やはり皇室論は抽象的にならざるを得ないのか。2017/03/14
tkm66
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晩年の著者は在をFAXで確かめた上で京都の鶴見俊輔を訪い<近いうちに死ぬので(貴方に)言っておきたい事が二つ>と。①「敗戦+占領で自分は天皇の弁護人を引き受けたつもりで発言して来た。被告について不利な事は言わない。だからといって天皇の持つ悪い面を知らない訳ではない」②「(貴方との付き合いの間に)貴方の書かれた事を一度も引用した事はない。それは私に引用される事であなたに迷惑をかける事を避けたからだ」・・介添人すら必要な状態で・たったこれだけを直に伝えに来る/受け入れる・まさに<士大夫>たる二人。2005/06/22